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In The Groove

a beautiful tomorrow yea

アマデウスという、常にはないラテン語のセカンド・ネームの意味は、神が愛した者、というものだ。それも、モーツァルトが生まれたときからつけられていた名ではなく、彼が10歳前後の頃に父親がつけた名であるらしい。父親は我が子に、神が愛した者、つまり天才という、セカンド・ネームを与えたのだった。

 

人間には、三種あると思う。天才、秀才、凡才と。映画『アマデウス』には、この三種のタイプが、モーツァルト、サリエリ、オーストリア皇帝レオポルドと、書き分けられている。私は人間はこの三種に分けられるとは書いたが、それはけっして、秀才や凡才を軽蔑しているのではない。ただ、ちがう、と言っているだけである。そして、天才、秀才、凡才の区別は、努力しなくてもできる人、努力の人、努力しない人、の区別でもない。全員、努力はする。努力とはベースのようなものだ。天才とは努力することを知っている人のことである、というゲーテの言葉もあるくらいだから

 

原作シェーファーの区別の基準は、これに私も賛成だが、次のようなものではないかと思う。天才―神が愛した者。秀才―神が愛するほどの才能には恵まれていないが、天才の才能はわかってしまう人。ゆえに、不幸な人。凡才―秀才の才能は理解でき、尊重はするが、天才の才能まではわからない人。ゆえに、幸福でいられる人。

 

天才にはなれなくても、「立派に」ぐらいにはなりましょう。

塩野七生著『人びとのかたち』(1995)より

 

東京のが満開となり、東京ミッドタウン日比谷が開業 

東京は先月末、が満開となり、高級ホテル<帝国ホテル>と

外資系超高級ホテル<ペニンシュラホテル>との中間に位置する場所に、三井不動産の新しい大型複合商業施設<東京ミッドタウン日比谷>(地上35階建)が開業したが、同施設は2007に赤坂(最寄駅は六本木)で開業した<東京ミッドタウン>に次ぐそれだ。とりわけ、注目の施設は11スクリーンで約2300席を誇る大型シネマコンプレックス「TOHOシネマズ日比谷」だろうか。

 

付け加えるなら、同社による日本橋の大型再開発で誕生した<日本橋三井タワー>(地上39階建)の開業が2005年ゆえ、当時独身だった俺が、中央区の<大川端リバーシティ21>の超高層マンション群の35階に位置する自宅から、日本橋三井タワーが完成するまでの途中経過を日々リビングから眺めていたのが昨日のことのように思い出される。同タワーの30階~38階に入居しているのが外資系超高級ホテル<マンダリン・オリエンタル東京>だ。この日本橋、丸の内、銀座、有楽町、日比谷の、都心3区の内2つ「中央区」及び「千代田区」はより洗練され、オトナの街へと変貌を遂げ、東京で最も高級で洗練されエリアとなっている。そして都心3区の残り1つが「港区」であり、アメリカ大使館をはじめ、外資系企業が多数集まるなど“インターナショナル”という意味合いではNo.1だが、デパートがひとつもないというのも特徴のひとつだろうか。

 

一方、中央区は買物天国であり、デパートだけでも「日本橋三越」「日本橋髙島屋」「銀座松屋」「銀座三越」「GINZA SIX(旧: 銀座松坂屋」)」「東急プラザ銀座(旧: 数寄屋橋阪急)」が6店舗も揃っており、

そして日本を代表する高級ショッピングストリートを形成する<GINZA>等々、ワンストップソリューションで消費者のさまざまな“欲しい”を解決できる唯一の場所なのだ。そんな銀座から徒歩圏の日比谷に、今回新たに誕生した<東京ミッドタウン日比谷>の意味を考えた場合、有楽町や日比谷に映画鑑賞や観劇を目的に訪れた人々に新たな選択肢をひとつ加えたことか。

人生は「選択の連続」だが、日比谷で映画鑑賞後、銀座までわざわざ足を運ばずとも、例えば、ニューヨーク発のお洒落なフレンチ・ビストロ<Buvette(ブヴェット)>でシャンパンをいただいたり、食事をできるのも魅力のひとつだ。

 

ブルーボトルコーヒー京都カフェ 

ところで、今から3年前となる201526()付ブログ“Blue Bottle Coffee Begins”(テーマ: レストラン&バー、カフェ)で、サンフランシスコ発『ブルーボトルコーヒー』を取り上げたことを憶えているだろうか。

 

サードウェーブ・コーヒー(第3の波のコーヒー)”に関しては、過去何度も取りあげているので、今回は言及しないが、ブルーボトルコーヒーが先月末、関西初の出店先として、京都にオープンしたのだ。『スターバックスコーヒー』というシアトル発の格安なコーヒーチェーンとは差別化したブルーボトルコーヒーの出店は、カフェ選びの選択肢が新たにひとつ加わり、関西人にとっても、訪日客にとっても、それは良いことではないのか。

 

付け加えるなら、スタバが「3の波のコーヒー」に対抗すべく、新たにサーヴィスを開始したのが「スターバックス リザーブ」だ。そう、同店で提供していたパナマ産ゲイシャ種の超高級コーヒー「パナマ・アウロマール・ゲイシャ」が懐かしい今日この頃だ。

 

ボルボ・カー・オープン 

マイアミ・オープンの男シングルス決勝戦も終わり、男ともに誰も予想していなかったであろうアメリカ人が優勝し、期待の大坂なおみちゃんは、1回戦のセリーナ・ウィリアムズ(元世界ランキング1位)には勝利したものの、2回戦では“体調不良”という理由!?でスビトリナ(同大会時点での同ランクは4位)に負けを喫した。

 

その後、十分な休養を取れたであろう大坂なおみにとって、日本時間の今夜から始まるWTAプレミア(470)「ボルボ・カー・オープン」本戦では、その“言い訳”は通用しなくなるが、彼女の圧倒的な勝利での優勝を期待したい。

ドロー表を見る限り、マイアミ・オープン2018優勝ボルボ・カー・オープン2016年覇者スローン・スティーブンス>ちゃんをはじめ、ボルボ・カー・オープン2017年覇者ダリア・カサトキナ>ちゃんも参戦しているとはいえ、小さな大会ゆえ、BNPパリバ・オープン2018WTAプレミア・マンダトリー1000)のドローと比較した場合、かなりゆる~いそれなのだ。マイアミ・オープンに続き、俺の考える本命は大坂なおみちゃんだ。

 

ドローその1 

このグループは、特筆すべきことは何もないのだが、私的にはカナダの人気選手<ウージニー・ブシャール>ちゃんに1回戦を突破してもらい、3回戦でスティーブンスを撃破してもらいたいと願っているわけだが、今の状態であれば厳しいだろうね。

 

とはいえ、スティーブンスは好不調の波がある選手ゆえ、物語ではないはずだ。両者の過去の対戦はなく、ブシャールはマイアミに、スティーブンスはフォートローダーデールに居を構えており、大坂なおみ同様、フロリダ在住の選手なのだ。なお、マイアミから「ボルボ・カー・オープン」が開催されるサウスカロライナ州のチャールストンまでは、飛行機で2時間弱の距離ゆえ、両者ともにマイアミ・オープンでの疲労は関係ないと思われる。

 

ドローその2 

このグループは、先述したように<大坂なおみ>と<ダリア・カサトキナ>という20歳同士の若手有望株が勝ち進んでいけば、決勝戦ではなく、4回戦(準々決勝)で激突するというタフなドローではあるが、カサ()キナに勝利すれば、準決勝での対戦相手はクビトバが予想されるが、それが実質の決勝だろうか。

 

このグループで、私的に注目しているのは、先月のBNPパリバ・オープンで、ワイルドカードで出場したアメリカ19の新星<キャロライン・ドルハイド>ちゃんだ。1回戦ではロジャース(当時の世界ランキング78位)に、2回戦ではチブルコバ(同30位)にそれぞれ勝利し、3回戦でハレプ1-2で敗れた期待の新人なのだ。プレースタイルは、ココ・バンダウェイオスタペンコ、そして大坂なおみにも似ており、いわゆるパワーテニスで展開する選手なのだが、その見た目とは対照的に、ラケット使いが器用であり、フットワークも良いので、近い将来での活躍が期待できる選手だろうか。

 

なお、このドロー表に書き込んだ世界ランキングは、先週末にシャンパン片手に作成したもので、最新の42日時点のそれではなく、319日時点のそれなので、あしからず。

 

最後に 

ブログ冒頭で、俺のお気に入り作家のひとり<塩野七生>氏のエッセイ本から一部抜粋して引用したが、その中の「天才とは努力することを知っている人のことである、というゲーテの言葉もあるくらいだから」に該当するテニス選手は、他でもない現世界ランキング1位の<ラファエル・ナダル>その人だろう。今月からクレーシーズンが始まり、4月中旬からATP1000大会「モンテカルロ・マスターズ」が始まるが、リハビリ明けとはいえ、ナダルの復活を期待し、ぜひとも優勝を飾ってほしい。

 

Reach full bloom!

 

超格差社会のテニス界に新風を吹き込んだ超新星<大坂なおみ 

女子プロテニスの4大大会グランドスラム)に次ぐWTAの最高峰「プレミア・マンダトリー4大会インディアン・ウェルズマイアミマドリッド北京)のひとつ<マイアミ・オープン>(女子)が始まった。なお、男子のそれは、ATPの最高峰「マスターズ10008大会インディアン・ウェルズマイアミマドリッドローマトロントシンシナティ上海パリ)のひとつに該当する。

 

日本時間の今週19日(月)に、カリフォルニア州のインディアン・ウェルズで「BNPパリバ・オープン」決勝が行われてからまだ数日しか経過していない中、場所をカリフォルニアからフロリダへ移し、「マイアミ・オープン」が始まり、予選(1回戦及び2回戦)が本日終わり、そして本戦1回戦に突入した。

 

今年1月に開催されたグランドスラム全豪オープン」で優勝を飾った世界ランキング2位(元同1位)の<ウォズニアッキ(スポンサー料を除いて、過去の獲得賞金だけで30億円を超えているスタープレーヤー)>ちゃんが、「BNPPO4回戦でロシア20歳の超新星<ダリア・カサトキナ>に今年2度目の敗戦を喫したのは、あまりに衝撃的で正直驚きを隠せなかった。その後、新婚の彼女はプライヴェート・ジェットでマイアミへと移動した。

 

プロテニスのスケジュールの過密さとその移動距離は、プロスポーツの中で最も過酷なそれであり、世界ランキング100位以内をキープしないと、グランドスラムやプレミア・マンダトリー(男子はATP1000)に予選から出場しないといけないルール(本戦へ出場できる主催者推薦は除く)で、それに全て勝ち続けていかないと、前へ進めない世界なのだ。もし、世界ランキング100位以内をキープできれば、4大大会すべて1回戦で負けたとしても、理論上では約1600万円が手に入るシステムだが、選手(莫大なスポンサー収入が入る数名のトップ選手は除く)はその中から、航空券、宿泊費、食費、コーチ料等々の諸経費を差し引くと、手元に一体いくら残るのだろうか? テニスへの情熱と類まれな才能、そして努力を継続する強いハートがなければ、テニスで生計を立てるというそれは夢物語に終わってしまうはずだ。

 

アメリカ社会のように、テニス界においても、トップ選手(富裕層)と下位選手(低所得者層)の格差は広がるばかりで、この「超格差社会」を悲観しても何も始まらないが、そんな超格差社会において、突然目覚めた20歳の超新星が大坂なおみちゃんだ。死にかけていた日本テニス界の救世主とも言えるライジング・スター<大坂なおみの覚醒は、「過去の日本人のテニスは一体何だったのか?」と我々に問いかけるかのように、

 

BNPPOでは、1回戦で「シャラポワ(元世界ランキング1位)」を、2回戦で「ラドワンスカ(元同2位)」を、3回戦で「米の新星サチア・ビケリー(ムグルサを2回戦で撃破)」を、4回戦で「(ココ・バンダウェイに完勝した)マリア・サッカリ」を、準々決勝で「ハレプ(現同1位)」を、そして決勝で「ロシアの超新星ダリア・カサトキナ(注: ライヴ中継で外国人アナウンサーは“カサキナ”と発音していた)」を破り、初優勝を飾ったのだ。それも圧勝劇という、過去に誰も体感したことがないようなパワーテニスで勝利を収めたのだ。これは、錦織くんが18歳でプロデビューして現在に至る11年間で一度も達成出来なかった、日本人初の快挙なのだ。「GRIT=やり抜く力」だけではできないそれかもしれない。

 

大坂なおみの“世代交代”という物語の序章は今月始まったばかりだが、マイアミ・オープン1回戦の相手が、マイアミ・オープンV8を誇る36歳のセリーナ・ウィリアムズに決定したのだ。ノーシードで、この新旧の怪物同士の初顔合わせとなる初戦は、まるで物語がエンディングからオープニングへと逆回転していくような驚きと新鮮さに満ちており、テニスファンに限らずとも、心躍るような、そんな刺激的な対戦だとも言える

 

ウィリアムズ妹にはストレートで勝利できると信じているが、2回戦の相手は世界ランキング4位のウクライナのエリナ・スビトリナ今年の戦績は153敗、勝率.833)であり、今年すでにもう2勝している強者だ。過去の対戦成績は22と互角で、先月開催された「ドバイ選手権」準々決勝ではスビトリナが勝利しているが、覚醒後の大坂なおみのほうが有利だと俺は楽観視している。これから果てなく続く、大坂なおみのテニス・ストーリーがとても楽しみで、これほど“期待”で心が躍るのは、デヴィッド・ボウイの新作リリースが決定した時と同じくらいかもしれない。彼はもう★になってしまったけど、ね。

 

マイアミ・オープン

ドローその

 

BNPパリバ・オープンが始まる前まで、大坂なおみちゃんが覚醒(23年後くらいの覚醒を期待していた。予感もあったのは確かであり、ブログの新たなテーマに「テニス」を加えた)するとは正直考えていなかったが、同大会での彼女の全試合を観た今では、マイアミ・オープンは彼女の優勝以外イメージできないのだ

 

したがって、本命は大坂なおみであり、その対抗を選ぶとすれば、ハレププリスコバ妹2人だけだ。私的に注目しているのは、BNPPO同様、アメリカ18歳の新星CiCiベリスちゃんであり、ワイルドカード(主催者推薦)でアザレンカが選ばれ、彼女の初戦の相手に決定している。

 

付け加えるならば、2回戦で登場するハレプの相手となる、1回戦の予選通過者が入る予定の枠に、予選の2試合目(対アリソン・リスク)を途中棄権したフランスのオセアヌ・ドダンが、抽選とはいえ、ラッキールーザーとして組み込まれているのは謎すぎる(笑)。これに気付いた人はほとんどいないだろうが、海外ツイートの中には数名見かけた。

 

ドローその

 

このグループでは、ムグルサにもうあまり期待はできず、対抗はケルバーだけだろうね。メキシコ・オープン優勝ツレンコにも注目していたが、本日1回戦で敗退。

付け加えるならば、BNPPO4回戦まで勝ち進んだ米16の超新星<アマンダ・エイニシモバ>ちゃんは要注目であり、すでに初戦では勝利を収めており、次戦の相手がムグルサという、この対戦は、新旧交代とは言わないが、少しばかり胸躍るそれだとも言えよう。

 

ドローその3

 

このグループは「死のグループ」であり、日本時間の明日早朝に行われる初戦の「大坂なおみVSセリーナ・ウィリアムズ」がとても待ち遠しい。

対抗は、スビトリナを筆頭に、クビトバ、そしてカサトキナだ。大坂なおみが2回戦でスビトリナに勝利し、その次の次の4回戦の相手は「クビトバVSカサトキナ」の勝者が予想されるため、タフなドローであるのは間違いない。とはいえ、優勝を期待しているのは俺だけではないはずだ。

 

そう、少しばかり気がかりなのは、昨年全仏オープンを優勝したにもかかわらず、今年パッとしない20のシード枠<オスタペンコ>ちゃんであり、初戦(2回戦)は突破してほしいと切に願うよ。

 

ドローその

 

このグループは、対抗はウォズニアッキしか正直思い浮かばないが、BNPPOで準決勝まで勝ち進んだウィリアムズ姉がそれに続く感じか。私的に期待しているのは、ベルギー22の新星<エリス・メルテンス>ちゃんだ。

なお、このドロー表は「マイアミ・オープン」公式サイト掲載のドローをコピーしたものだが、メルテンスのランキングが[22]とあるが、彼女の最新ランキングは21なので付け加えておきたい。要は、毎年、テニスの試合が11月までエンドレスに毎週続くため、運営サイトも主催者も追いついていないのだ。選手が誰と対戦するのか、半日前まで分からないというこの過密なスケジュールには呆れるばかりだ。

 

最後に

 

昨夜はシャンパン片手に、同公式サイトのドローを楽しく眺めていたのだが、本戦が始まる前日に対戦相手がまだ決まっていないケースもあり、選手たちは大変だなぁ、と。マイアミ・オープンが終われば、クレーシーズン6月まで続くので、ヨーロッパに選手は移動するが、ヨーロッパ間の移動であれば、移動距離も時差もほとんどなく、問題ないはずだ。ナダルも戻ってくるはずだ。

 

ところで、BNPPOの決勝は、チケットが一人当たり数十万もするため、今年も富裕層ばかりが集まっていた大会(会場内に美女の姿が目立った)のように俺の眼には映ったが、前回のブログに張り付けたシングルマザーの道を選んだスーパーモデル<アレッサンドラ・アンブロジオ>ちゃんのツイートだが、

その写真からも分かるように、会場内の高級和食レストラン「NOBU」でシャンパンでもいただきながら、強い日差しを避け、ナイト・セッションの試合を観戦するのが理想だと確信した。で、アンブロジオちゃんが子供と座った席からでは、ほとんどテニスは見えないはずだ。そこに子供と一緒にいたという、美しい思い出になるであろうストーリーが欲しいなら、話は別だけどね。

 

 

そう、久々にこのミュージック・ヴィデオが観たくなったよ。エキストラとして、ジョコビッチモンフィスが登場する。初見の方には、ジョコビッチの演技も含め、とても新鮮に映るはずだ。

 

Naomi begins!

そのコンサートのチケットは、早々に売り切れていた。198117日、東京都大田区田園調布、田園コロシアム1977年(唱和52年)から1992年(平成4年)にかけて、毎年夏に行われていた野外ジャズ・フェスティヴァル「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」の5回目が、この年、開催された。出演陣のなかで最大の人気を呼んだのが、最終日(726日)に登場した、ハービー・ハンコックカルロス・サンタナの双頭リーダーによるスペシャル・グループだった。

 

ハンコックとサンタナの共演とあればチケットは黙っていても売れるだろうし、あえて無名の新人ジャズ・トランペッターを加える必要はない。しかし主催者はウィントン・マルサリスにこだわり、急遽、参加を要請する。つまりウィントン・マルサリスは、この時点でアメリカ・ジャズ界では無視できない大型新人として話題の渦中にあり、日本側主催者は、単なるビジネスを超えて、「この驚異の新人をいち早く日本のファンに紹介すべき」との見解に達した。

―中山康樹著『ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?』(2015年)より

 

田園コロシアムの記憶

 

田園調布にかつて存在した「田園コロシアム」という屋外スタジアムで、ジャパン・オープン・テニス選手権(現: 楽天ジャパン・オープン・テニス選手権)1972年から1982年まで開催されていたことは、テニスファン以外にはほとんど知られていないことかもしれない。付け加えるならば、俺が幼少期の頃、同会場で開催されたプロレスがテレビでよく放送されたていたことを今でも朧げにだが憶えている。

 

そう、田園調布3丁目に位置するカフェ「レピドール」でケーキとコーヒーをいただいてからもうかれこれ10年近くになるが、昔はよく知人が住む同3丁目の豪邸に足を運んだものだが、都心から離れた大田区に近年足を運ぶことはなくなった。

 

そして、先述したテニス選手権の会場は、ウォーターフロントの「有明コロシアム」(江東区)に移転し、昨年の大会(ATP500)では、男子はダビド・ゴフィンが優勝を飾った。なお、有明コロシアムは2020年の東京五輪に向け、改修工事に入ったため、今年の楽天ジャパン・オープン(101日~7日)は、東京23区の外側、調布市に位置する「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で開催される。

 

一方、女子の大会(WTAプレミア)「東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント」決勝では、ウォズニアッキ2016年は大坂なおみを、2017年はパブリュチェンコワをそれぞれ破り、V3を達成した。同大会(917日~23日)も「楽天ジャパンオープン」同様、今年会場を移転するが、移転先は東京23区外、立川市に位置する「アリーナ立川立飛」に決定した。

 

田園コロシアム」が日本経済のバブル絶頂期にあたる1989に閉鎖されてから今年で29年目を迎えたが、同年誕生したのが、元世界ランキング2のポーランドのラドワンスカだ。そして彼女の2年前に生まれたのがロシアのシャラポワ(元同1)であり、1年前に生まれたのがドイツのケルバー(元同1)であり、1年後に生まれたのがデンマークのウォズニアッキ(元同1)であり、この世代はとりわけ強豪揃いなのだ。

 

大坂なおみの覚醒

 

ブログ冒頭、ウィントン・マルサリスという80年代に突如登場したジャズ界の新星について引用したが、女子プロテニスの世界に2013年にデビューした大型新人が、BNPパリバ・オープンで優勝した20歳の<大坂なおみ>ちゃんだ。世界ランキング(年度末)は、2015年が2032016年が402017年が68とアップダウンしながらも、今月19日付の最新ランキングでは22にまでUPしたのだ。

 

俺自身、テニスの試合は、ナダルのそれを中心にWOWOW及びGAORATV観戦してきたため、女子テニスはWOWOWで放映される4大大会及び日本大会しか観たことはなかったが、今年から新たにDAZN(ダゾーン)も契約したため、女子テニスの試合もよく視聴している。

 

話を戻すが、大坂なおみちゃんは、ハイチ人の父親と日本人の母親との間に1997年に大阪で誕生し、2000年にアメリカのフロリダに移住し、テニスを3歳から始め、現在に至っているため、母国語は英語であり、日本語はほとんど話せない一方、スポーツを行う際に選んだ国籍が「日本」であり、実際にはアメリカとの二重国籍となっているはずだ。テニス選手にはよくあるそれで、ロシア生まれの選手が国籍を変え、他国の選手として活躍しているのは快挙に暇がない。なお、彼女のお気に入りの都市は「東京」だ。

 

ところで、先月までのテニスが嘘のように、大坂なおみは今月開催されたBNPOPでようやく覚醒し、彼女の秘められたポテンシャルの高さを証明し、彼女の才能が東京の桜の開花と同時期に開花した。この状態を維持できれば、彼女の時代が今後10年間は続くはずだ。

とはいえ、今の状態は彼女にとってはまだまだ「進化の一過程」にすぎないのだから驚きだ。パワーテニスの代表でもあるセリーナ・ウィリアムズの後継者になり得る、正にテニスモンスターの誕生だろう。今年の戦績は134(勝率.764)だが、この勝率が年間を通して8割を超え、グランドスラム4大大会も全制覇するようになれば、ナダル(生涯勝率は.820を超えている)やフェデラーのような伝説的なテニス選手になれるはずだ。

 

そんな女子テニス界の将来を引っ張っていくであろう彼女にとって、黒人というそれはもうあまり関係ない話だろう。かつてのシャラポワのような華やかさは持ち合わせていないのは大した問題ではなく、パワフルなそのテニスとは対照的に、数々の意味不明で幼稚な発言も海外ではユニークと解釈され、陽気で、面白いキャラクターとして位置づけられ、海外メディアが連日のように報じている。

彼女の人気があがっていくのは、今後の活躍次第だとはいえ、それよりも近い将来での世界ランキング1を期待したい。なぜなら、彼女には我々の過度な期待にも応えてくれるような才能に溢れているからだ。遅かれ、心技体のバランスがようやく整い、最大限のパフォーマンスを発揮できるようになった今、トップ選手を相手にしても圧倒して勝利できる、そんなパワーテニスを展開できるのはとても魅力であり、他選手にとっては脅威の存在そのものだろう。トップ選手でさえ、意気消沈するその「圧倒的なテニス」が今後どこまで洗練されていくのか、とても楽しみだ!

 

ツイッターのフォロワー数から見るスポーツ選手の人気度

 

スポーツの世界では「強さ」だけではなく、インターネットの登場以降、「美しさ(容姿)」までも求められるような風潮が高まり、その象徴が、例えば、かつてのロシアの妖精<マリア・シャラポワ>であり、アルマーニの広告にも起用されたサッカー界の<デヴィッド・ベッカム>と<クリスティアーノ・ロナウド>だ。

 

今回、ツイッターのフォロワー数(1000人以下は切り捨て)に目を向け、世界的な有名人に注目してみたい。参考までに、現時点での、大坂なおみちゃんのフォロワー数は3万3000だ。フォロワー数が100万を超えている選手は、一般的にもよく名が知られた存在だと思われるが、それは数えるくらいしかいない。なお、フォロワー数が、驚きの1億超えがジャスティン・ビーバーとケイティ・ペリーの2だけだ。8000万超がリアーナ7000万超がクリスティアーノ・ロナウドとレディ・ガガ5000万弱がドナルド・トランプ2000万弱がレオナルド・ディカプリオであり、予想外に少なかったのは、(大坂なおみちゃんお気に入りの)ビヨンセの1516と、マドンナの217だ。以下、錦織くんを除いて、フォロワー数が100万を超えているテニス選手であり、男女合わせて12人を数えるのみだが、アルマーニの広告にもかつて起用されたナダルの人気が絶大なことを証明する結果となった。

 

女子テニス選手>

シャラポワ 8513000

ウォズニアッキ 3151000

ブシャール 169万2000

アザレンカ 1339000

そしてアメリカのアラフォー世代、ウィリアムズ姉妹

◆姉のヴィーナス 1769000

妹のセリーナ 10713000

 

<男子テニス選手>

BIG4ナダル 15501000

BIG4フェデラー 12147000

BIG4ジョコビッチ 8296000

BIG4マレー 3726000

デルポトロ 327

ワウリンカ 1727000

錦織圭 888000 

 

後編では「マイアミ・オープン女子のドローについて簡単に綴ってみたい。なお、本戦は日本時間の明日21日に始まるが、現在同大会の予選が行われており、予選通過者は全員まだ決まっていない状態なのだ。

 

Have a beautiful day!

時が経つにつれ、一方は上がっていき、他方は落ちていく。

モヤは、ナダルが他のプレーヤーを怖がらせる効果を持っているのに気づいていた。ナダルのエージェントのカルロス・コスタもモヤと同意見で、ナダルと対戦する時は恐ろしさを感じるという。ずば抜けた強者がその他大勢に与える威圧感だ。

 

また、ナダルにはカリスマ性がある。

当時ビッグスターのモヤは、スペイン史上初の世界ナンバー1だったが、ナダルはナンバー2になるずっと前から、スペイン国内でも海外でもモヤより人気が高かった。モヤはクラシカルなハンサムだったが、ナダルの野性的な魅力には叶わなかった。モヤはエレガントなプレーヤーだったが、ナダルの闘争的などう猛さのほうが人々を惹きつけた。ナダルはモヤには不可能な方法で大衆を虜にした。

 

コート上のナダルは人を惹きつける。

人は苦労を知らない優秀な選手よりも、勝ち目はなくても戦いを挑む負け犬のほうに共感する。そのほうが明らかに人間的だからだ。人々は優等生のフェデラーよりも、欠点のあるナダルのほうに共感を覚えるのだ。世界中でラファが熱狂的に支持されているのは、彼がマッケンローのように情熱的であると同時に、冷血な殺し屋のボルグのように自制的だからだ。その両方を持ち合わせるのは矛盾しているが、それがラファなのだ。

ジョン・カーリン著『ラファエル・ナダル自伝』(2011年)より

 

BNPパリバ・オープン過去14年間の優勝者 

テニス」をテーマに、ブログを更新するのは今回で早くも5回目を数える。今、時計の針は金曜日の朝6時を回った。俺はSONYのノートPCを開き、GAORAで放映中のBNPパリバ・オープン1回戦「杉田祐一VSセバジョス」にチャンネルを合わせ、モーツァルトをBGMに今ブログを書き始めたところだ。東京都心には昨日から雨がやむことなくずっと降り注いでいる。もう小雨だけどね。

 

先日、非公開ツイッター上でも指摘したことなのだが、「BNPパリバ・オープン男子の優勝者は、女子のそれとは対照的に、2010年を除き、すべてBIG4(ナダル・フェデラー・ジョコビッチ・マレー)がそれぞれタイトルを獲得している要は、21世紀の男子プロテニスの世界は、この4人が完全に支配していたことを意味しているのだ。言い換えれば、色んな意味(成績及び収入)で、プロテニスの世界は正に「超格差社会」の縮図のようでもあるのだ。

 

モンテカルロ・マスターズV10のナダル

BNPパリバ・オープンV5のフェデラーとジョコビッチ

 

ATP1000マスターズ「BNPパリバ・オープン」(インディアンウェルズ)及びATP1000マスターズ「マイアミ・オープン」を欠場することを発表したラファエル・ナダルに関しては、先日のブログでも書いたとおり、来月15日に始まるATP1000マスターズ「モンテカルロ・マスターズ」に万全の体制での復帰を期待したい。ナダルは同大会において、2005年(当時18歳)から2017年(当時30歳)の13年間で10度優勝しており、決勝でフェデラーに4度勝利し、そしてジョコビッチに2度勝利している。

 

そして本日から始まる男子の「BNPパリバ・オープン」本戦だが、BIG4ナダルマレー、他にもゴフィンワウリンカツォンガ等々、かつてのトップ10プレーヤーが欠場を発表している。BIG4の残りの2人に関してだが、同大会に出場するリハビリ明けのジョコビッチの状態が現在どうなのかは知らない一方、(ハードコートを得意とする)フェデラーは先日ビル・ゲイツとのチャリティ・イヴェントにも参加するなど余裕があり、昨年に続き優勝の可能性が非常に高く、V6も夢ではない。

 

ところで俺は、大学時代のラスヴェガス旅行で、グランドキャニオンを小型セスナ機で空から見るツアーに参加し、その雄大な景色に感動したことを今でも鮮明に憶えているが、ジョコビッチのツイッターを今朝久々に覗いてみると、グランドキャニオンに出掛けた写真をツイッター上で公開していたのだ。場所柄、パワースポットでの気分転換とは最良の選択だ。

 

ドローその1 

このグループは、ハードコートを得意とするフェデラーが大本命だが、彼に勝利できそうなイメージが他のメンバーでは正直湧いてこない。先週、「ブラジル・オープン」で優勝を飾ったファビオ・フォニーニ(世界ランキング19)にも注目しているとはいえ、彼は1月から連戦続きで疲労も蓄積していると思われ、クレーコートであれば、フェデラーに勝利できる可能性も無きにしも非ずだが、ハードコートでは厳しいだろうね。

 

私的には、18歳の超新星シャポバロフ(同44)にも注目しており、彼のさらなる覚醒を期待しているのだが、フェデラーの対抗はティエム(同6)、ベルディハ(同15)、そしてチョン・ヒョン(同26)か。

 

ドローその2 

このグループで注目しているのは、ロシア20歳の有望株ルブレフ(同31)だ。フェデラーの対抗を考えた場合、ディミトロフ(同4)では全く勝てる気がしないとはいえ、それに続くのがビッグサーバーのアンダーソン(同9)とキリオス(同20)だ。他には、先週末に決勝が行われた「ドバイ選手権」で優勝したバウティスタ(同16)、そしてロシア21歳のカチャノフ(世界ランキング41)にも注目しているが、同グループでは誰が勝ち進んでも不思議ではない。

 

ドローその3

 

このグループは、若手の有望選手ばかりが集まったドローだ。私的に注目しているのは「全豪オープン」ベスト423歳のカイル・エドモンド(同24)と2月末に開催された「デルレイ・ビーチ・オープン」で初優勝を飾った20歳のティアフォー(同64)の2人だ。なお、エドモンドは2014年(当時19歳)に開催された「慶応チャレンジャー」の準優勝者だ。彼の凄さを改めて知ったのは、昨年4月の「モンテカルロ・マスターズ3回戦のナダル戦なのだが、0-6, 7-5, 3-6と敗れはしたものの、クレーコートでナダルから1セットを取ったダイナミックでそのパワフルなプレーは今でも鮮明に憶えている。

 

他にも、男子テニスの将来を期待されるドイツの20ズベレフ弟(同5)、フランスの若手24プイユ(同12)とアルゼンチンの25歳の小さな巨人シュワルツマン(同17)等々が揃っている。

 

そして、スペインのベテラン36歳のフェリシアノ・ロペス(同32)も気になるが、「メキシコ・オープン」初戦でナダルと対戦予定だったロペスは、同郷のナダルの棄権により、準々決勝まで進むなど、今年運が味方するなど今後の活躍が楽しみな選手だ。

 

そう今回、プロテクトランキングを利用して出場が決まった日本の西岡良仁(同255・キャリアハイ58)は、2014年にプロデビューを果たした22歳の若手だが、ドバイ選手権ではブノワ・ペール相手に逆転負けを喫し、初戦敗退した。ツイッターでは過密スケジュールと移動距離に触れているが、

30歳のフォニーニと比べると公園の散歩のようにも思えるが、渡航距離、試合数等々、フォニーニは西岡君の10倍ほどのそれをこなしている。

 

ドローその4 

このグループは、ジョコビッチの状態次第だが、フェデラーの対抗となるのは、デルポトロチリッチ2人だけだ。他には、モンフィスコールシュライバーフェレール等々、地味だが個性的な選手が揃っているのも特徴だ。

 

そしてシャラポワ同様、テニス人生が崖っぷちの日本のトップ選手<錦織圭>くん(同25)だが、私的には彼が対戦する相手に注目している。誰かと言うと、アルゼンチンのマイエル(同47)とドミニカ共和国のブルゴスおじさん(同153)であり初顔合わせの対戦だ(笑)。

 

この2人、今年運悪く「全豪オープン」でナダルと対戦し、マイエルは2回戦でストレート負けブルゴスは1回戦で6-1, 6-1, 6-1で完膚なきまでにやられた苦い思い出があるのだ。なお、37歳の苦労人<ブルゴス>君だが、2015年に新設された「エクアドル・オープンV3を飾るなど、同大会に関しては恐ろしいほど力を発揮する摩訶不思議な選手なのだ。

 

いずれにせよ、シード枠の錦織くんの対戦相手はこの2人のどちらかになるわけで、もし錦織が勝利したら、次戦はジョコビッチの可能性が高く、もしジョコビッチにも勝利したら、次戦はデルポトロの可能性が高く、もしデルポトロにも勝利したら、次戦はチリッチという、彼にとっては茨の道が待っている。錦織くんには、グランドスラム優勝は期待しないので、せめてATP1000マスターズには1度くらい優勝してもらいたいものだ

Have a nice weekend!

楽天オープンが終了した翌週の世界ランキングで、東レPPOを初優勝で飾ったキャロライン・ウォズニアッキがデンマーク人として初の世界1位となった。これにより、日本に男の世界1位が同時に来日していたことになる。

 

2004に大阪・スーパージュニアで優勝し、サイン攻めにあったあの14歳の少女が、素敵な女王へ成長した姿を日本でひと足先に見せてくれた格好となった。あんなに愛くるしい笑顔の女王はマルティナ・ヒンギス以来だろう。「テニスを楽しむことを体現する彼女のスタイルが、この入れ替わりが激しい女子テニスで長く愛され、そして目標になる存在になってほしいと思う

 

その新女王に対して王者、ラファエル・ナダルはというと、その登場は貫禄だった。1回戦で彼が有明コロシアムに現れたときの、沸き上がった空気、あの悲鳴、あの歓声はかつてない特別なものがあり、今、日本がもっとも待ち望み、愛されているテニスプレーヤーの来日であったことの証明になったように思う。

 

ボブ・ブレットは、日本のジュニアたちにこう言った。「選手は試合に出るのが仕事ではない。試合は完璧に準備した者が出るものだ。だから練習を完璧にしていかなければいけない。練習ではすべてを出し切らなければいけない。出し切った選手だけがよりよくなることができる

テニスマガジン201012月号)の巻頭コラム“Angle Shot”より

 

大阪スーパージュニア選手権2004年)に出場していた3選手

キャロライン・ウォズニアッキ(当時14

アンゲリク・ケルバー(当時16

ドミニカ・チブルコバ(当時15

 

前回のブログの最後で、<今夜は8年ぶりに、ナダルが当時表紙を飾り、楽天ジャパンオープンに密着した特集号「テニスマガジン」(201012月号)に久々に目を通してみたい>と綴ったが、本日のブログでは同雑誌に掲載されたコラムを一部抜粋して引用した。

 

そしてその夜、同コラムの中の「2004年に大阪・スーパージュニアで優勝し、サイン攻めにあったあの14歳の少女」=「キャロライン・ウォズニアッキ」ちゃんが出場した同大会で、他に誰が出場していたのかが気になり、調べた結果、21世紀の女子テニス界を牽引する面々が参加していたことに驚くと同時に、その後の彼女達の華やかなテニスの成功物語とも重なり、とても感慨深い発見だった。

 

その夜は、高級ヘッドフォンでジャズではなく、椎名林檎のデビューアルバム『無罪モラトリアム』(1999年)を久々に視聴したのだが、その夜はシャンパン片手に、「正しい街」から始まるその懐かしい楽曲群は、俺を少しばかりノスタルジックな気分にさせた。

 

の訪れを知らせる

カリフォルニア州・インディアンウェルズで開催されるテニス大会

BNPパリバ・オープン>(3/73/18 

先日、ロサンジェルスでは恒例となった世界的な映画の祭典『90回アカデミー賞授賞式』が開催された。今回、その結果に関してはスルーするが、同祭典のアフターパーティにハリウッドスターやスーパーモデルに交じり、試合数日前でも気にすることなく参加していたのが、現在27歳となった元世界ランキング1位のスタープレーヤー<キャロライン・ウォズニアッキ>ちゃんその人だ。現在、彼女は有名なバスケットボール選手と結婚し、幸せ一杯の新婚なのだが、パーティには夫妻で出席したようだ。

 

そしてもうひとり、パーティに出席していたのは、現在24歳の元世界ランキング1位のスタープレーヤー<ガルビネ・ムグルサ>ちゃんだ。

彼女はナダルと同じスペイン国籍の選手であり、先日も2017年のベスト・アスリート授賞式にナダルと共に出席していたのだ。

 

一方、現在世界ランキング1位のハレプは、パーティとは無縁と言わんばかりに、ラスヴェガスで練習を行っていた様子をLas Vegas baby”とツイートしていた。

砂漠地帯に人工的に造った華美で巨大なカジノの街がラスヴェガスだが、現在は家族でも楽しめるエンターテイメントの街へと大変貌し、カルヴィン・ハリスをはじめ、

カスケイドなどスーパースターDJが毎週のように登場するため、パーティ好きにも最高のデスティネーションのひとつとなっている。そう、ラスヴェガスを舞台にしたニコラス・ケイジ主演のアカデミー賞受賞作品『リービング・ラスヴェガス』は俺のお気に入りの1本であり、オススメだ!

 

過去14年間の結果をデータ化して見えたこと 

本題に入るが、WTA1000マスターズ大会『BNPパリバ・オープン』の本戦がいよいよ明日(日本時間8日)始まるが、インディアンウェルズはカリフォルニアの砂漠地帯に位置しており、

来月はその隣のコーチェラで恒例の音楽の祭典『コーチェラ・フェスティヴァル』も開催され、エミネムが登場する。

 

次回のブログでは、同大会の男子のそれについて綴るが、先ず女子の過去14年間の結果を簡単にまとめて見えたことは、誰が優勝してもおかしくない大会であるということだ。

 

とはいえ、過去14年間で2回以上優勝している選手は存在せず、2度優勝しているのは、30歳独身の)シャラポワをはじめ、(産後、初めて出場する36歳の)セリーナ・ウィリアムズ、そしてワイルドカード(主催者推薦)で出場する28歳のシングルマザーのアザレンカだ。3人共に元世界ランキング1位の面々だが、今回3人共ノーシードでの出場だ。

 

そして、同大会で1度優勝しているのが、ハレプウォズニアッキエレーナ・ベスニナ(世界ランキング24位)の3人であり、この3人はシード枠で出場する。なお、ブログ冒頭で「大阪スーパージュニア大会」で優勝したウォズニアッキと共に取り上げたケルバーチブルコバ(準優勝)もまた、同大会に参戦しているので要注目だ!

 

ドローその 

このグループでは、ハレプが本命だとはいえ、完璧に準備したであろうハレプが次にあたる可能性が高いのがチブルコバであり、その次の可能性はメルテンスムラデノビッチの勝者なのだ。いずれにせよ、このグループは先が全く読めないというのが本音だろうか。

 

ドローその

 

このグループは「死のグループ」と形容できるほど強豪揃いで、気が抜けないタフな試合が続くはずだ。先ずは、ノーシード同士の新旧対決となる1回戦「シャラポワVS大坂なおみ」に要注目だ。

テニス人生が崖っぷちなのに、一切気にする素振りも見せず、プライヴェートも含め、超マイペースで、我が道を進む元女王<シャラポワ>ちゃんの意地をぜひとも見たいところだ。デミアン・ハーストの超高額な作品が並ぶガゴシアンでのアート鑑賞も素敵だけどね。

 

シード枠には、ムグルサ、クビトバ、プリスコバ妹、ラドワンスカ。そしてプロレスラーのような巨体をして、試合中にミスした際、放送禁止用語を連発するココ・バンダウェイの組み合わせは正に地獄絵だ(笑)。まるで、格闘技を彷彿させるような、或る意味、力勝負とも形容できそうな、とても力強いグループであり、目が離せないのは必至だ。 

付け加えるならば、ワイルドカードで出場するカナダのウージニー・ブシャールちゃんに、私的に注目している。初戦に勝利しても、2回戦の相手はムグルサだけに厳しいが、彼女の覚醒に今回期待したい。

 

ドローその 

このグループは、先述したグループに比べると、勝ち進むのが簡単そうに思えてしまのは、俺の錯覚だろうか。アメリカメディアが注目するウィリアムズ姉妹の話はさておき、私的にはエリナ・スビトリナちゃんの準決勝進出を期待したい。

 

ドローその 

このグループでは、私的な本命(本大会の本命)は、他でもない<キャロライン・ウォズニアッキ>ちゃんなのだが、彼女のお友達で元世界ランキング1位のケルバーをはじめ、昨年の覇者ベスニナ、そしてもうひとりガルシアなど強者がいるのは分かっているとはいえ、私的に近年最も期待しているのはCiCiこと18歳のキャサリーン・ベリスちゃんであり、その次がカサトキナだ。

 

付け加えるならば、今大会以降も、台風の目になりそうなのが元世界ランキング1位のアザレンカだ。彼女が勝ち進むと、このドローではウォズニアッキと対戦する流れなのだが、その対戦が「シャラポワVS大坂なおみ」(日本時間8日・AM10:00~)の試合以上に、不思議と胸躍りそうな気がするのは俺だけだろうか? Can't wait!

 

 

後編に続く。

ナダルにクレーコートでほとんど勝てないフェデラー

 

ナダルは15歳でプロデビュー後、この17年間(正確には16年間)で、フェデラーと対戦したクレーコートでの成績は、(ナダルが当時18歳だった)2005年に12006年に32007年に212008年に32009年に12010年に12011年に2、そして2013年に1し、トータルで132敗(勝率86.7%となり、この数字だけ見れば、勝負にならないほど圧倒している。フェデラーにとってクレーコートは大きな関門ではなく、クレーコート上で対戦するナダルが大きな関門なのだ。フェデラーは近年、ナダルが出場するクレーコート・シーズンの参加を2013年の対戦を最後に回避しているが、それに関してこれ以上言及するのは野暮な話だろう。

 

(或る意味、逃げているようにも思える)フェデラーとは対照的に、ナダルは休むのを嫌うように昨年も試合に連続で出場し、最終的には故障した。で、両者の最終的な世界ランキングはどうなったのか? 2017年のナダルは「進化したニュー・ナダル」とも形容され、格段にパワーアップしたその結果、世界ランキング1の座に見事に返り咲いたのだ。

 

なお、ナダルフェデラージョコビッチというこの伝説的な3人が出場した全試合における勝率219日付時点)は、驚異の8割超えを記録しており、そんな選手は他にはいない。要は、この8割を超える勝率は、彼らがほとんど負けないことを意味している。

 
世代交代の非情  

先述した伝説的な選手たちの話をさておき、手首の負傷から今年復帰した日本人トップの錦織圭くんについて。彼は日本時間の228日(水)にアカプルコで行われたATP500大会「メキシコ・オープン」初戦で、カナダの超新星18シャポバロフに逆転負けを喫した。

今から10年前の2008年(当時18歳)ATP250大会「デルレイ・ビーチ・オープン」で優勝を飾った錦織圭は、皮肉にも今回、若手18デニス・シャポバロフに逆転負け(7-6, 3-6, 1-6)を喫し、世代交代の波に飲み込まれたのだ。

 

なお、錦織は昨年出場した大会で1度も優勝できなかった一方、次世代の若手が頭角を現し、アレキサンダー・ズベレフ20)が5回、アンドレイ・ルブレフ20)が1回それぞれ優勝を飾った。上の表は、2月19日付時点のランキングだ。

参考までに、ナダルは18歳(2005年)で全仏オープン優勝を飾り、同年だけで15回優勝した異次元な存在の選手ではあるが、彼が18歳で手に入れた華やかなタイトル獲得数15(通算では75に対し、錦織はプロデビュー後の通算タイトル獲得数はわずかに11だ。錦織くんのATPツアータイトル獲得数は、「ATP250大会」で5度、「ATP500大会」で6度ある一方、オリンピックをはじめ、「グランドスラム(全豪・全仏・全英・全米の4大大会/ITF2000)」及び「ATP1000マスターズ」など世界ランキングの上位選手が集まる大会ではタイトルを1度も手にしていない

 

今回、錦織くんの初戦敗退はとても残念な結果だったが、(全豪オープン3回戦のケルバー相手に勝負にならなかった)シャラポワの悲惨な試合のように、その内容が悪すぎただけに、初戦敗退を喫したその試合に俺は「彼のテニス人生の黄昏」を見てしまったような気がしてならない。

 

BIG4錦織圭、そしてフォニーニ 

不思議と、BIG4ナダルフェデラージョコビッチマレー)と比較されることも少なくない、日本のトップ選手<錦織圭>(現在世界ランキング26)の対戦戦績は、対ナダル29(勝率18.2%)、対フェデラー25(同28.6%)、対ジョコビッチ211(同15.4%)、対マレー29(同18.2%)となっており、BIG4に対してそれぞれ2ずつ勝利を収めるなど、金星をあげている。なお、錦織の自己最高ランキング(キャリアハイ)は4位201532日付)だが、自己最高ランキングが11位以下の選手で、ナダルに勝利した選手はほとんどいない。そんなスペインの王者に3勝した選手が、他でもないイタリアの天才肌で華のある男<ファビオ・フォーニーニ>その人(キャリアハイ13)なのだ。しかも2015年にナダルからクレーコートで2を挙げているのだから、ナダルにとってフォニーニは正にクレーコート上の天敵なのだ。

 

ナダルはバルト海に面したポーランドの風光明媚なリゾート地<ソポト>で20048月に開催された「オレンジ・ワルシャワ・オープン」で初優勝(当時18歳)を飾って以降、錦織くんの通算タイトル獲得数11とは対照的に、「グランドスラム」優勝16回(準優勝7回)ATP1000マスターズ」優勝30回(準優勝15回)ATP500大会」優勝19ATP250大会」優勝9そして「オリンピック(2008年北京)優勝1合計75回もの優勝を飾っている。ナダルよりプロデビューが4年早いフェデラーの優勝回数は現在97を数えるが、その差は22回ゆえ、それを追い越すのは時間の問題だろう。

 

付け加えるなら、ナダルが出場した2004開催の「オレンジ・ワルシャワ・オープン」の女子部門で優勝し、2015の「全米オープン」で優勝を飾り、翌2016フォニーニと結婚したのが年上妻<フラビア・ペンネッタ>だ。この夫婦はイタリアを代表するテニスエリートであり、2017に待望の第1子となる長男<フェデリコ>を儲けている。父親となったフォニーニは今、世界各国を転戦しながら、家族のために戦い続け、現在開催中のATP250大会「ブラジル・オープン」では準決勝まで勝ち進み、試合は日本時間の本日24時半に開始予定だ。一方、ナダルには2005(当時18歳)から付き合っている同郷の恋人<マリア・フランチェスカがいるが、2人は結婚していない。

 

アルマーニの広告に起用された唯一のテニス選手 

最後になるが、今から8年前となる2010(当時24歳)、サッカー以外のスポーツ選手でアルマーニの広告に起用されたのが、他でもない<ラファエル・ナダル>その人だ。同年10月、ナダルは東京の有明コロシアムで開催された「楽天ジャパンオープン」に出場するため、初来日を果たした。ナダル・フィーヴァーで沸いた同大会は、7日間で史上最多の8万人(前年比70%)を超える入場者数を記録し、決勝ではモンフィス6-1, 7-5のストレートで破り、見事優勝を飾ったのだ。

 

奇しくも、2010はナダルが「全仏オープン」と「ウィンブルドン選手権」を制覇し、そしてフェデラーから1位の座を奪い取ったアニヴァーサリーな年でもあったのだ。今夜は8年ぶりに、ナダルが当時表紙を飾り、楽天ジャパンオープンに密着した特集号「テニスマガジン」(201012月号/写真:一番上)に久々に目を通してみたい。進化し続けるナダルの復帰が、とてもとても待ち遠しい今日この頃だ。

 

Vamos Rafa!

今年で、フェデラーはデビューから21ナダルはデビューから17となり、高邁な精神を持った、このあまりにも対照的な2の、創造的なテニスは未だに衰えを知らず、テニスファンの心を掴んだまま、この世界だけ時間が止まっているみたいだ。この世に永遠なんてものはないが、彼らのテニス人生は続く。

 

メキシコ・オープンを棄権したナダル 

日本時間の昨日、朝7時に始まったATP500大会「メキシコ・オープン」で、第1シードで出場予定だったテニス界のスーパースター<ラファエル・ナダル>が当日棄権した。彼は同大会でV22005及び2015)を飾った覇者であり、アカプルコは思い入れのある地なのだ。

 

上の表は、WOWOWオンデマンド(他にはGAORADAZNもあり)でも放映される年内のプロテニス大会を簡単にまとめたものだ。ナダルには、もう無理はせず、万全を期したうえでの復帰を願いたい。4月から続くクレーシーズンATP1000マスターズ「モンテカルロ・マスターズ」での復帰がベストかもしれない。そう、俺は史上最高のテニスプレーヤーの最高のプレーを観たいのだ。

 

いずれにせよ、ナダル自身、現状のランキングに関し、気にも留めていない一方で、トップ選手のATPツアー「出場義務」は無視できない問題なのだろう。それが怪我人続出の最たる要因でもあるわけだが、「メキシコ・オープン」という大会の章は、彼の果てなく続くテニス・ストーリーの中のごくごく一部にすぎず、それ以降の物語の大きな展開(例えば「全仏V11」)を期待し、彼の早期の万全の体制での復帰を祈るばかりだ。

 

史上最高のテニスプレーヤー<ラファエル・ナダル 

フェデラーのデビューは19979月(当時16歳)まで遡る一方、ナダルのそれは20019月(当時15歳)ゆえ、両者のプレー期間には4年の開きがあり、年齢はフェデラーがナダルより5歳年上だ。

 

そう、忘れもしないナダルが最も得意とするクレーコートでの連勝記録が始まったのが、20054月(当時18歳)であり、連勝記録は翌々年の20075月(当時20歳)まで続き、シャラポワ風に言えば“Unstoppable”であり、その偉業とも言える連勝を81で止めたのが、当時25歳のフェデラーだったのだ。

 

そしてナダルは、クレーコートの最高峰「全仏オープン」で昨年も優勝を飾り、前人未到のV10という偉業を成し遂げたのだ。

 

 

片手打ちバッグハンド両手打ちバッグハンド

 

フェデラーが偉大なテニス選手であることに異を唱える者などいないと思うが、インタヴュー等から判断した彼のイメージは、楽天家で、社交的で、ユーモアのセンスがあり、若かりし頃の彼とは比較できないほど、洗練された人物に俺の目には映っている。

ワイルドな風貌とロン毛で野武士のようだった若かりし頃のナダルが懐かしい今日この頃でもある一方、(黒歴史とは言わないが)若かりし頃のフェデラーは、髪の毛を金髪に染め、日本にもよくあるタイプの、野暮ったい若者のひとりにすぎなかった。

 

フェデラーはこの21年間で、洗練された大人の男に成長し、彼の「片手打ちバックハンド」が多くのテニスファンの眼にはどう映っているのかは知らないが、「華麗で優雅、そして美しい攻撃的なテニスで観客を魅了する選手」と称賛する各国のメディア報道に、時折、違和感を覚えているのは俺だけではないはずだ。フェデラー自身が、そのプレースタイルを「華麗で優雅?」などとは微塵も思っていないはずだ。

 

もし、「片手打ちバックハンド」が華麗で優雅なのであれば、ナダルジョコビッチマレーなど超一流選手をはじめ、多くのテニス選手の安定感抜群の「両手打ちバックハンド」は華麗で美しくないのか、という疑問も生じる。2017年に世界ランキング1位に返り咲いたナダルの「劇的に進化したプレースタイル」、とりわけ「ボールのスピン量を状況に応じて調整」しながらの「両手打ち高速バックハンド」の破壊力は正に衝撃だ。その世界観を、バボラの公式ツイッターが“RIP, this tennis ball.”だと形容している(笑)。  

 

一方、シャポバロフ、アレキサンダー・ズベレフ、ティエム等々は「片手打ちバックハンド」で戦う数少ない若手有望株だが、先日下旬に開催された「リオ・オープン」準々決勝で、世界ランキング6位のティエムは、格下のベルダスコ(同世界ランキング40位/対戦時)相手に完膚無きまでに打ちのめされ、ストレート負け(4-6, 0-6)を喫した。

まるで、ティエムのかつてのガールフレンド!?<ムラデノビッチ>ちゃんが繰り返す初戦敗退という「負のスパイラル」にも似た敗戦だった。とはいえ、俺が心配していたムラデノビッチちゃんが「メキシコ・オープン1回戦そして2回戦でも、ティエム同様、勝利を収めたのだ。まるで、俺の声が届いたかのように、ね。

 

片手打ちバックハンド」に話を戻すが、ボールのスピードが落ちるクレーコートで、先日大敗を喫したティエムのストロークには微妙なズレが生じ、空いたスペースもそうだが、返球の甘くなったところを、ベテランのベルダスコに完璧なダウン・ザ・ラインを決められるなど、試合を完全に支配されていたのは誰の目にも明らかだろう。

 

この問題は、フェデラーの技術力と生まれ持ったその資質とは対照的に、先述した発展途上の25歳未満の若手3の選手が、度々引き起こすアンフォーストエラーに繋がっており、それは彼らと「身体の軸がブレない、無駄のない動き」が特徴でもある成熟した超一流選手<フェデラー>との、ランキング以上の大きな差なのだろう。「GRIT(やり抜く力)」だけでは解決できない問題かもしれない。

 

 

まだまだ長くなりそうなので、次回のブログでは、ナダルとフェデラーの対戦成績をはじめ、錦織圭、そして先日作成した男子選手のデータ等々を取り上げたい。

 

後編その2に続く。

 

 

Have a nice day!

人生はそんな明確なものじゃない。僕は疑念を持たないほど尊大じゃない。普通の人間だ。自分がダメだと思うから練習を続け、この日の成功も手にできた。全仏オープン初優勝(2005年)のとき、10年後には釣りでもしているだろうと考えていた。僕は人生を楽しみたい朝起きて練習したくないと思う日が来たら、受け入れるつもりだ。現在は練習も楽しいし、やる気でいっぱいだよ。

ラファエル・ナダル(雑誌『Tennis Magazine20178月号より)

 

テニスのある風景

 

冬季オリンピックTV観戦することが一度もなく(“俺らしい”とも言える)、真冬の2月も慌ただしく過ぎ去り、本日最終日を迎えた。ところで、今月は何をしていたのか? 

自宅に居るときに限れば、日常的な趣味である・・・「音楽」及び「映画」の鑑賞、そして「読書」のみに時間を費やすわけでもなく、ソニーの大画面4Kテレビの前でコルビュジエの高級ソファに腰を下ろし、同高級スツールに足を伸ばし、

ボランジェのロゼシャンパン片手に、ソニーのノートPCを開き、テニス観戦を楽しむことが多かった。テニスが放映されていない時間帯には、例えば、書棚から村上春樹が編集・翻訳した短編集『セロニアス・モンクのいた風景』やジェフ・ダイナー著・村上春樹訳『バット・ビューティフル』を取り出し、時折、AKGの高級ヘッドフォンでジャズを聴きながら、読書したこともあれば、テニス関連のツイート連投然りね。

 

今年も昨年に続き、ナダルをはじめ、トップ選手たちが身に纏う、彼らのスポンサー企業<NIKE>社が提供する、そのピンク色のウェアが悪趣味でとっても眩しい(笑)。

まるで、マイアミのアールデコ地区のオーシャン・ドライヴで目にするような原色のそれだが、

3月下旬から開催されるATP1000マスターズ大会「マイアミ・オープン」(321日~41日)を経て、(4月から始まり6月上旬まで続く)クレーコートのシーズンに突入するが、赤土の上ではピンク色のウェアは素敵に映えるはずだ。

 

そう、プレミアムジン<タンカレー>をトニック・ウォーターで割ったジントニックを、マイアミの高級ホテルのプールサイドで、スヌープ・ドッグの“Gin & Juice”をBGMにいただくのも悪くないね。

 

話を戻すが、クレーコートの最高峰であるグランドスラム「全仏オープン」の舞台で、ナダルには、昨年達成した前人未到のV10に続き、V11の偉業を期待したい。ブログ冒頭、ナダルの言葉「全仏オープン初優勝のとき、10年後には釣りでもしているだろうと考えていた」を引用したが、彼は今も尚、プロテニスの世界でトッププレーヤーとして君臨し、フェデラーと共に異次元な存在として異彩を放っている。まるで、男子テニスの世界のみ、この2人のために、時間が静止しているかのように、ね。

 

テニスは好きだが、テニスに宿命的なまでに惹かれるような時期は、俺の人生には後にも先にもないが、ウディ・アレン監督のロンドンを舞台にした映画『マッチポイント』(2005年)同様に、ナダルのような“スーパー”なトッププレーヤーの試合をTV観戦する時間は少しばかり刺激的であり、胸躍る瞬間だ。人生は短く有限ゆえ、スポーツ観戦にせよ、俺は最高のプレーを観たい、ただそれだけ。

 

ナダルの天敵<ファビオ・フォニーニ

元女王<マリア・シャラポワ 

最高のプレーを観たい。赤土の王者<ナダル>(31歳)に限らず、クレーコートを最も得意とする天才肌の<フォニーニ>君(30歳)にも言えることだが、ハイドロゲンのウェアを着た伊達男フォニーニに過度な期待は禁物だろう(笑)。とはいえ、今年のフォニーニは、1月はイタリアからオーストラリア(「シドニー国際」「全豪オープン」)、そして2月は真夏のオーストラリアから真冬の日本(「デビス杯」)を経て、アルゼンチン(「アルゼンチン・オープン」)へ。

そしてアルゼンチンからブラジル(「リオ・オープン」「ブラジル・オープン」)に移動し、今週からサンパウロで開催中のATP250大会「ブラジル・オープン」にシード枠で参戦する。こんな生活が11月まで続くのだから、肉体的にも精神的にもタフでなければ生き残っていけないのが、過酷なプロテニスの世界なのだろう。 

一方、元世界女王<シャラポワ>ちゃんのように、プライヴェート・ジェットでの移動は、男子テニスの世界でも数えるほどしかいない。30を機に、彼女が昨年出版した自叙伝『Unstoppable: My Life So Far』はアメリカでベストセラーとなり、テニス人生だけではなく、(現在男子世界ランキング4位の)ディミトロフとの熱愛に関しても、赤裸々に綴られている。なお、彼女のツイッターのフォロワー数は、現在845万人を超え、その人気は今もなお健在だ。シャラポワちゃんの勝率に注目だ!

 

 

そして今回、新たなテーマとして気まぐれに「テニス」を追加し、いくつかのデータも作成した。なぜなら、この年齢になるまで、テニスをTV観戦するのが趣味のひとつになるほど、俺の人生はゆっくりとは流れておらず、そもそも「スポーツ観戦」が興味の対象ではなかったからだ。若かりし頃、週末の夜の過ごし方はナイトクラビングが性に合っていたし、美女シャンパングラスを傾け、アルマーニを身に纏い、最高の音楽に身を委ねるその瞬間がとても好きだった。2000年代初め頃、独身だった俺が西麻布や六本木、麻布十番界隈で夜な夜な遊び歩いていた当時、ナダルフォニーニがまだ小学生(お子ちゃま)だったのが不思議に思える今日この頃だ。

 

スポーツウェアの記憶

 

意外かもしれないが、俺が初めて始めたスポーツは小学低学年での「テニス」と「水泳であり、父親に連れられ、テニススクール(軟式)に通い、当時のお気に入りウェアが3本線の<adidas>だったのを未だ鮮明に憶えている。大学時代の遊びサークルでは「テニス&スキー」、そして「サーフィン」に国内外で興じたのはそれぞれに美しい思い出であり、サーフィン時に愛用したウェアは<STUSSY(ステューシー)>だった。90年代後半には、アルマーニのスキーウェア<GIORGIO ARMANI NEVE>も登場し、その取り扱い製品が数多く揃っていた新宿の小田急デパート別館「小田急ハルク」には当時何度も足を運んだものだ。なお、現在アルマーニ社では同ブランドの展開は終了し、アルマーニのスポーツラインは<EA7>に統一され、価格もお手頃となっている。

 

スポーツ歴は、小学高学年で始めた「バレーボール」が最も長い。大学時代には年中海外に遊びに出掛けたものだが、ハワイLAバリ島など等での「サーフィン」や「ビーチバレー」に興じた数々の記憶の断片を繋ぐと、長くなるので割愛するが、少しばかり昔話を綴ってみたい。

 

テニスとビーチリゾート

 

大学1年の夏、サイパンへ遊びに行った際、ホテルに併設されたコートで「テニス」を、そしてマニャガハ島で「ビーチバレー」を楽しんだことを今でも不思議と憶えている。そこはエメラルドグリーンの海に四方を囲まれたとてもとても小さな美しい島だったが、当時はアトラクションやナイトクラブもなく、夜は星空を眺めなることくらいしかできなかった。サイパンの海では、ワイキキビーチのように、数多く隣接した高層ホテルの明かりを眺めながら、「ナイトサーフィン」を楽しむこともできなかった。なぜなら、夜は周りが真っ暗だったからだ。

 

そう、先日の「成田―サイパン線及びコロール(パラオ)線の直行便が今年5月で運休」といったニュースは寂しいそれだった。サイパンには美しい海があるが、何もない美しい自然に囲まれた島という意味合いでは、ボラボラ島の、フォーシーズンズホテルの高級水上ヴィラがオススメであり、何もしないヴァケーションは贅沢で素敵な時間を約束してくれる。

家族向けではなく、恋人たちの時間だ。

 

なお、子供連れのビーチリゾートであれば、広大なオーストラリアの、白い砂浜が広がるその美しい海岸線に代表される<ゴールドコースト>や美しいサンゴ礁が広がる<グレートバリアリーフ>のほうが魅力的だし、ありきたりでもよければ<ハワイ>周遊も悪くはない。私的なオススメは、ヘミングウェイの小説の舞台にもなった、大学時代及び近年も足を運んだフロリダ半島であり、巨大なディズニーリゾートをはじめ、巨大な高級リゾート都市<マイアミ>、そしてフロリダ半島最南端の<キーウエスト>へと続くセブンマイル・ブリッジから眺める絶景は、言葉を失うほどに美しかった。

 

付け加えるならば、メキシコのカンクンをはじめ、カリブ海諸島の景色には天国のような美しさが感じられ、ハワイ同様、テニスをしている場面に何度も出くわしたが、日本から遠く離れたカリブ海は、時間が限られた現代人向けのデスティネーションではない。マイアミから先述した場所には定期便が飛んでいるとはいえ、その本数は少なく、乗り換えも含め、日本人がいつでも気軽に足を運べるそれではない。

 

近場の美しい海であれば、外資系高級ホテルが近年続々と進出している沖縄は、トム・クルーズも訪れるなど、外国人セレブリティにも人気のそれだ。青い空の下、テニスを楽しむにはマイアミ同様、申し分ない場所だろう。美女を連れてのゴルフ然りね。今回、ナダルが着たピンク色のナイキ製テニスウェアの話から書き始めたが、後編ではナダル男子テニスに注目したい。

 

後編に続く。

 

Have a beautiful day!

アメリカの黒人ポップの脱力が、

白人ラッパーのEMINEMを登場させた。

―第78回アカデミー賞作品賞受賞映画『クラッシュ』(2004年)のパンフレットより

 

米国ヒップホップ界の革命児

物語を創作し、それを伝えることに長けたラッパー達

エミネムカニエ・ウェストケンドリック・ラマー

 

エミネム

まず、米国で最も成功した白人ラッパー<エミネム>(1972年生まれ)について。彼の本名は<Marshall Mathers III>、彼が創作した別人格の名は<Slim Shady>、そしてラッパー名が<Eminem>なのだが、曲ごとにその3つのペルソナを使い分けている。エミネム曰く、「スリム・シェイディというのは怒りから形成されたエミネム」、彼の内面を表している。

 

付け加えるならば、俺にとって特別な存在である英国の<デヴィッド・ジョーンズ>が、ロックスター<デヴィッド・ボウイ>に名を変え、時代毎にカメレオンのように変身し、キャラクターを使い分け、物語を創作し、時代の先端を50年間も走り続け、彼は<デヴィッド・ボウイ>という人生をアートにまで昇華し、最期はになった。正に、地球に落ちて来た異星人だ。一方、エミネムのアルバムにもまた物語性があり、それを伝えることに長けているとはいえ、知的なボウイの高尚な作品群のように、文学の香りはしないのがヒップホップの特徴だ。

 

そう、エミネムが昨年末リリースした最新作『REVIVAL』に関して、来年のグラミー賞最優秀ラップ・アルバム賞を受賞できるのか、気になるところだ。参考までに、彼が過去リリースしたアルバムは1枚を除き、残り6枚すべてが『最優秀ラップ・アルバム賞』を受賞している。なお、エミネムはかつてトランプ支持派だったが、現在は同反対派だ。

 

ところで、エミネムは近年の作品で、アメリカを代表する歌姫<リアーナ>をフィーチャー(2010Love the Way You Lie2013The Monster)するなど、大ヒットを生む戦略を心得ている。

 

また、エミネムが2013年にリリースしたアルバム『The Marshall Mathers LP2』には、ケンドリック・ラマーも参加するなど、この国のラッパー達のアルバム作りにおける向上心は想像に難い。エミネムは、ラマーが影響を受けたラッパーの1人でもある。

 

カニエ・ウェスト

エミネムに続くのが(トランプ支持!?派で、トランプが大統領就任後にNY五番街のトランプタワーの自宅を訪問した)、シカゴ出身の知的な黒人ラッパー<カニエ・ウェスト>1977年生まれ)その人であり、先述したエミネムの1枚のアルバム『Encore』の同受賞を阻止した唯一の人物なのだ。

 

彼は、過去にリリースした8枚のアルバム中4が『最優秀ラップ・アルバム賞を受賞している。その4枚とは、大学時代を物語にした(大学中退~履修登録遅延~卒業)3部作<1stThe College Dropout』(2004年)~ピアノ使いが印象的だった2ndLate Registration』(2005年)~3rdGraduation』(2007年)>、そして2010年リリースのアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』だ。近年では、もうすっかりファッションの人に変わってしまった(笑)。

 

アウトキャスト

エミネム、カニエ・ウェストに続くのが、その独特で多様性に富んだサウンドが俺好みの黒人ラッパー・・・アンドレ30001975年生まれ)とビッグ・ボーイ1975年生まれ)のデュオ<Outkast(アウトキャスト)>であり、アメリカ南部ジョージア州のアトランタ出身だ。

 

ヒップホップという俺の趣味ではない音楽ジャンルにおいて、アトランタ育ちの彼らの音楽は不思議と俺の興味を誘う。なぜなら、ピアノを多用した一部のジャジーな楽曲に限れば、正に俺好みのサウンドでエピックだからだ。

 

ケンドリック・ラマー

最優秀ラップ・アルバム部門において、エミネムの6度受賞カニエ・ウェストの4度受賞アウトキャストの2度受賞の栄光は、アメリカのヒップホップ部門の21世紀以降を牽引しているラッパーがすべて1970年代生まれのアーティストであることを意味するが、そこに突如登場したのが1987年生まれのケンドリック・ラマーなのだ。

 

 

僕らは、二人して様々なアイデアや人生、そしてそれぞれの構想について語り合いながらたくさんの時間を過ごした。夜遅くに彼と交わした会話を録音しその哲学的なところを取り出して楽曲に仕上げたり、そんなことをよくしていたね。実際、アルバム1曲目'BLOOD.'IS IT WICKEDNESS? IS IT WEAKNESS?"これって邪悪なことなのか?それとも弱さなのか?)という歌詞は、僕らの中で交わしたある会話の中から出てきた言葉なんだ

ベーコン(『DAMN.』のプロデューサー)のインタヴューより

 

そして彼は、メジャーデビュー後の2ndTo Pimp a Butterfly』と3rdDAMN.』の2枚で「最優秀ラップ・アルバム賞」を見事受賞した。彼はLAの貧困地区コンプトンで生まれた生い立ちを「私小説」化、それをリリックにし、現代アメリカの暗部をえぐり、ディスり、攻撃している、とても真面目な政治色の強いラッパーだ。彼は近年稀に見る才能溢れるアーティストであり、無学ゆえ自身の足りない部分を、他者(例えば、ベーコン)から補うなど、音楽作りへの貪欲さが窺い知れる。

 

クーリオ

おまけとして紹介。90年代に一世を風靡したラッパーのひとりが、(ケンドリック・ラマーと同じLAコンプトン出身の)1963年生まれの<クーリオ>だ。彼の1994のデビュー作『It Takes a Thief』に収録された“Fantastic Voyage”のミュージック・ヴィデオのエンディングは落ちだ。エミネムを聴いて育ったラマーが、幼少期6、7歳の頃のヒット曲ゆえ、彼はリアルで同曲を知らないはずだ。同年もまた、俺はLA旅行に出掛けていた。

 

チャンス・ザ・ラッパー/ミーゴス

彼らに続く次世代が、第59回で同賞を受賞した、1993年生まれのシカゴ出身の<チャンス・ザ・ラッパー>であり、彼は同郷のカニエ・ウェスト1977年生まれ)に強い影響を受けており、デビュー後はカニエ・ウェストジェイムス・ブレイク等とも親交がある。

 

そして期待の新人が従兄弟3人組<Migos(ミーゴス)>であり、3人共に90年代生まれの20なのだ。彼らは、アウトキャストと同じアメリカ南部ジョージア州の出身だが、アトランタではなく、ジョージア州北部のローレンスヴィルの生まれだ。彼らのヒップホップは、トラップ・ミュージックに分類されるが、同ジャンルは、2000年代にT.I.がそのジャンルを最初に作ったとも言われる。彼らの2013年のデビューシングル“Versace”の「ヴェルサーチ」と繰り返すだけのMVはとりわけ印象に残っており、ジェイ・Zもまた同年“Tom Ford”という曲をリリースし、「トム・フォード」と繰り返していた(笑)。

 

変化をもたらすことができなかったオバマ前大統領とヒップホップ

 

今回のブログでは、米国ヒップホップ界の革命児達それに続く次世代について綴ったが、続いて、デヴィッド・ボウイの妻が黒人のスーパーモデルであるとか、話の流れとして、ボウイの名曲Changesについても綴りたかった一方で、アメリカに「変化」を期待されたオバマ前米大統領が、当時の就任式のテーマ・ソングに選んだ曲について注目したい。

 

それは、コモンのアルバム『Universal Mind Control』(2008年)収録の「黒人の大統領、俺たちを導いてくれ。変化は希望だ!」と歌った曲Changesだ。アメリカに黒人大統領が誕生しても何ら変わることなく、新しい夜明けは訪れず、(先述したクーリオMVのように)から目覚めた今、オバマに投票したアメリカ人には「自己満足」と「二日酔い」が残っただけかもしれない。厳密に言えば、オバマ氏は黒人と白人のハーフだ。

 

オバマ氏の米大統領就任(2009-2017)から9年が経過したが、ロバート・グラスパーカリーム・リギンスが参加したコモンのアルバムタイトルは『Black American Again』(2016年)で、エミネムの新作タイトルが『REVIVAL(復活)』(2017年)だった。

 

そして、オバマ前米大統領による2012年初夏のLGBTに関する発言以降、俺のお気に入りSoul and R&Bの歌手と言えば、87年生まれの<フランク・オーシャン>なのだが、オバマは弁論だけが上手な「悪い宗教」みたいな男だったのかと、オバマに投票したアメリカ人に訊いてみたい。

 

最後になるが、近年で最もお気に入りのRap & Hip-Hopアルバムは、最優秀ラップ・アルバム賞に輝いたアウトキャストが2003年にリリースした2枚組アルバム『Speakerboxxx / The Love Below』だ。とりわけDisc2の『The Love Below』はピアノ使いを含め、壮大で、ジャジーで、ソウルフルで、繊細なヒップホップという形容が最もよく当てはまる傑作であり、今は亡きプリンスのような香りもする。今回3回に分けて、ヒップホップについて論じたが、俺の考える英国で最高のミュージシャンは<デヴィッド・ボウイ>であり、アメリカで最高のミュージシャンを1人選ぶならば<プリンス>だろうね。

 

 

今回、ヒップホップにしたのは、俺の思い過ごしだったのだろう、きっと(笑)

 

Happy Valentine's Day!

この世界では、時間が水の流れに似ており、崩れた岩石の破片や、一陣の突風で、その流れが変わることがある。ときには、なにかの宇宙的擾乱で時間の小川が本流からそれ、川上につながることもある。そんな現象が起きると、枝分かれした細流にとらえられた鳥たちや、土くれや、人々は、とつぜん過去へと運ばれてしまう。

アラン・ライトマン著『アインシュタインの夢』(1993年)より

 

白人ラッパー<エミネム>登場前の90年代のヒップホップとSoul and R&B

 

ノーティ・バイ・ネイチャー/ローリン・ヒル(フージーズ)/パフ・ダディ

全部は書けないが、ここ東京における、90年代のAcid Jazz ムーヴメントはさておき、同時期に流行った他ジャンルの音楽と言えば、例えば、ジャム&ルイスジャネット・ジャクソンのプロデュースでつとに有名)関連のSoul and R&Bもそうなのだが、ノーティ・バイ・ネイチャーローリン・ヒルのフージーズ、パフ・ダディ等々のRap & Hip-Hopだろう。

 

先日、ジャネット・ジャクソンの全アルバムを聴き返したが、今の気分で選んだお気に入りは『Janet.』(1993年)と『The Velvet Rope』(1997年)の傑作2枚だ。

ヴェルヴェット・ロープという名のタイトルを見る度、東京やニューヨーク、ロンドン等々のナイトクラブ(ディスコ)や高級レストランの入り口前に置かれたそれを思い出すのは、世界中で、昔<夜遊び>好きだった俺だけではないはずだ。

 

 

なお、ケンドリック・ラマーのメジャー・デビューアルバム『Good Kid, M.A.A.D. City』のドレイクが参加した曲“Poetic Justice”でサンプリングされたのは、ジャネット・ジャクソンのアルバム『Janet.』収録の名曲“Any Time, Any Place”だ。

 

米国グラミー賞のラップ部門

最優秀ラップ・アルバム賞』のウィナーを振り返れば、

アメリカのラップ・ミュージックのが透けて見える。

 

パフ・ダディ

デヴィッド・ボウイの大ヒット曲“Let’s Dance1983年)をサンプリングした曲Been Around the Worldを収録したパフ・ダディ&ザ・ファミリーのアルバム『No Way Out』を憶えているだろうか。同アルバムは、第40回グラミー賞最優秀ラップ・アルバム賞(1998年)を受賞した。あれから20年が経過し、69年生まれの彼は現在、かつてのゴーストライターの存在を認め、その後事業を拡大している。彼はジェニファー・ロペスEXとしてもつとに有名だ。

 

ドクター・ドレー/ジェイ・Z/スヌープ・ドッグ

ファレル・ウィリアムス/コモン

ヒップホップ界の大物で実力者といえば、65年生まれの西海岸を拠点とする<ドクター・ドレー>がすぐさま頭に思い浮かぶが、

彼はエミネムとも関係が深く、近年ではアンダーソン・パークとの音楽作りで相思相愛だ。そしてもう一人は、69年生まれの東海岸ジェイ・Zだ。

 

おまけ的には、71年生まれの憎めないお馬鹿ラッパー<スヌープ・ドッグ>も息が長いね。一方、73年生まれで遅咲きの売れっ子<ファレル・ウィリアムス>は日本国内でも人気があり、今年のフジロックには<N.E.R.D>の一員としての出演が決定した。

 

そして(シカゴ出身の)カニエ・ウェスト77年生まれ)と組んだアルバム『Be』をはじめ、洗練されたサウンドが俺好みの72年生まれのシカゴ出身の知的な<コモン>も忘れてはならない存在だ。メキシコの女流作家ラウラ・エスキヴェルのベストセラー小説「Como Agua Para Chocolate」(映画化もされた)からタイトルを拝借した彼の名盤が『Like Water For Chocolate』(2000年)だ。

 
 

 

そして今年、コモンが新しい試みとして、ロバート・グラスパー78年生まれ)とカリーム・リギンス75年生まれ)と新グループ<August Greene(オーガスト・グリーン)>を始動する。第一弾シングルは、ブランディをフィーチャーし、サウンズ・オブ・ブラックネスの名曲“Optimistic”をリメイクした俺好みの洗練されたナンバーだ。

 

Guru

今は亡きNYの知的なラッパー<Guru(グールー)>(1966-2010)がジャズと実験的に融合したアルバムJazzmatazz4部作(ソロ・プロジェクト)もまた俺好みだったし、

1993年リリースの『Jazzmatazz vol.1』には、ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(TBNH)の初代歌姫<エンディア・ダヴェンポート>や今は亡き<ロニー・ジョーダン>も参加していた。

 

彼女を擁したTBNHのライヴを見るため、ブルーノート東京をはじめ、都内のライヴ会場に俺は何度も足を運んだのは美しい思い出だが、ライヴの感想に関しては、例えば、20061211()付ブログ“TheBrandNewHeavies Are Back!!!”で綴ったので、興味がある方はどうぞ。また、今年4月にはTBNHはブルーノート東京で3公演を行うことが決定した。

 

PAC

そして、忘れてはならないのが、25歳の若さで他界した才能溢れたラッパー<2PAC(2パック)>(1971-1996)であり、西海岸のケンドリック・ラマーも一目置く存在だ。95年の大ヒット映画『バッドボーイズ』のサントラには、2パックの名曲Me Against the Worldが収録されている。

 

 

まだまだ長くなりそうなので、次回のブログで、エミネム、カニエ・ウェスト、ケンドリック・ラマー、チャンス・ザ・ラッパー、ミーゴス等々、そしてオバマ黒人大統領誕生後と今について、綴ってみたい。後編その2に続く。

 

Have a nice day!