Who's going to beat Nadal on clay this year? | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

 

ナダルのクレーコートでの生涯対戦成績

40135敗(勝率91.97%

 

オーストリア生まれのアメリカ人スポーツ記者<ピーター・ボド>氏(68歳)が51日(米現地時間)、アメリカ最大のスポーツチャンネル「ESPN (Entertainment and Sports Programming Network)」のサイトで、「今年クレーコートで、ラファエル・ナダルを倒す可能性がある選手」を8名選び出し、その旬な話題性に富んだ興味深いニュースは、ここ日本においても、「チョン・ヒョン、クレーコートでナダルを倒す8人の候補に」と題したそれが、翌2日付のYahoo!ニュースでも取り上げられ、現在50以上のコメントが寄せられている(笑)。

 

プロテニスの世界は現在、男女ともに「クレーコート」での下位大会(男子のATP250BMWオープン」「イスタンブル・オープン」「エストリル・オープン」、女子のWTA280モロッコ・オープン」「プラハ・オープン」)が5大会同時開催中であり、それらが終われば、男女のクレーコート上位3大会がいよいよスタートする。

 

3大会は、ATP1000マスターズ及びWTA1000プレミア・マンダトリー「マドリード・オープン」(56日~13日)に始まり、ATP1000マスターズ及びWTAプレミア・マンダトリー「イタリアン・オープン(ローマ)」(513日~20日)へと続き、そして4大大会のひとつITF2000全仏オープン」(527日~610日)で幕を閉じるカタチだ。

 

本題に入るが、ピーター・ボド氏が取り上げた「クレーコートでナダルを倒す可能性がある8」に関してだが、先日、ナダルが圧倒的な強さを見せつけ、1セットもゲームを奪われることなく“V11”の偉業を飾ったATP1000モンテカルロ・マスターズ」及びATP500バルセロナ・オープン」の結果から判断しても、ナダルに何かトラブルが起こらない限り、ナダルを倒す可能性がある選手は、この地球上には存在しないというのが正論なのだろうが、ボド氏が挙げた8人とは以下の選手だ。なお、ランキングは最新の430日付だ。

 

1. ズベレフ弟(ドイツ・世界ランキング3位)

2. チリッチ(クロアチア・同4位)

3. ディミトロフ(ブルガリア・同5位)

4. デルポトロ(アルゼンチン・同6位)

5. ティエム(オーストリア・同7位)

6. イスナー(アメリカ・同9位)

7. フォニーニ(イタリア・同19位)

8. チョン・ヒョン(韓国・同22位)

 

 

Well, I think you're crazy

I think you're crazy

I think you're crazy

 

本音を言えば、この8人に限らず、クレーコートで本調子のナダルに勝てる可能性の選手は限りなくゼロに近い確率でいないと断言できるとはいえ、クレーコートでナダルは過去35しており、年老いたボド氏は分析的に物事を判断できない人物のように俺の眼には映ったが、ある選手の強かったときのイメージだけで物事を語るのは、Yahoo!ニュースにコメントしているような無知な子供たちと同レヴェルだとも言えよう。今回、ナダルをクレーコートで過去に倒した23を簡単にまとめてみたので、参考にしてほしい。なお、ナダルにクレーコートで「複数回勝利した選手」と「1度のみ勝利した選手」とを別々に分けてみた。

 

まず、ナダルにクレーコートで過去に複数回勝利した選手はわずか7名のみで、その1人はすでに引退しているため、現役の選手は6だけだ。引退選手1名を除くと、ナダルにクレーコートで7度も勝利しているのがジョコビッチであり、2度勝利している選手がフェデラーマレーフェレールティエム、そしてフォニーニ5だ。ここで注目してほしいのは、ナダルが怪我や(負けないため、連続試合出場による)疲労困憊などの影響(2013年は757敗で、タイトル獲得数10)により、彼のテニス人生で最も低迷していた3年間(2014年~2016年)での敗北を除外すると、本調子のナダルに勝利したことがある選手は、3勝のジョコビッチ2勝のフェデラー、そして1勝のティエム3名に絞られる。付け加えるなら、近年クレー大会を避けているフェデラーの2勝は今から11年前の2007年(当時ナダル20)と9年前の2009年(同22)の対戦となっており、もうほとんど参考にならないデータだろう。

 

したがって、今年「ナダルを倒す可能性がある選手」は、ジョコビッチティエム2人だけに絞られるわけだが、周知のとおり、ジョコビッチは現在不調であり、ATP1000モンテカルロ・マスターズ3回戦でティエムに2-1で敗れ、翌週のATP500バルセロナ・オープン」ではクリザン(対戦時の世界ランキング140位)に敗れ、初戦敗退を喫するなど、復調の兆しが少しばかり見えてきたとはいえ、本調子には程遠い状態だとも言えよう。

 

一方、ナダルを除く現役選手の中で、クレーコート最強選手と言われるティエムは、「モンテカルロ・マスターズ」準々決勝で、ナダルに圧倒され、6-0, 6-2というスコアで惨敗し、翌週の「バルセロナ・オープン」準々決勝では、ギリシャ19歳の新星チチパス(対戦時の世界ランキング71位)に3-6, 2-6のストレート負けを喫するなど、弱くはないが、不安定なのだ。そんなクレーコートの超新星チチパス君は「時の人」となったばかりだが、同決勝のナダル戦では6-2, 6-1と勝負にならず、完敗したというのが現実なのだ。

 

クレーコートに限らず、芝コート、ハードコートを含め、ナダルと対戦して、勝率が50%を超える選手は、52%の<ジョコビッチ>と、50%の<ガウディオ(対戦当時のナダルは16歳~18)2名だけなのだ。BIG4の残り2人・・・<フェデラー>でさえ39.4%(クレーコートの大会には近年参戦していないため、参戦していたらこの数字はもっと下がるはずだ)、<マレー>で29.1%なのだ。その他の選手で現在、ナダルに高い確率で勝てそうな選手は地球上には存在しない。フェデラーが絶不調で「引退」も囁かれた2016(同年のタイトル獲得数はゼロ)と、ナダルが不調だった2014年~2016年の3年間に、最も活躍したのが他でもない<ジョコビッチ>(2015年のタイトル獲得数11)と<マレー>(2016年のタイトル獲得数9)の2名なのだ。

 

付け加えるなら、2014の<錦織圭>(同年のタイトル獲得数4)は、彼のテニス人生の中で最も輝いていた時期かもしれない。錦織はクレーコートではナダルに1度も勝ったことはないが、ナダルが不調だった時期(2014年~2016年)にハードコートで2勝しているため、生涯対戦成績は210敗(勝率16.6%。ナダルの低迷期に、両者は6度対戦し、錦織の24敗なのだが、ナダルがフェデラー同様、昨年復調し現在に至っているため、錦織が今年もナダルに勝てる可能性は限りなくゼロに近いとも言えよう。ボド氏の挙げた8名のひとりにも選ばれなかった錦織君に俺は少しばかり期待しているが、俺は夢を見る男ではないのであしからず。Are you a dreamer?

 

そして、クレーコートで1度のみ過去に勝利した選手は16名存在するが、現役選手で、しかもナダルの低迷期を除いた時期に勝利した選手は、ジル・シモンベルダスコセバジョス3人だけだ。なお、セバジョスは2013年のATP250チリ・オープン」決勝でナダルに勝利し、彼のテニス人生で初のツアータイトルを獲得したが、それが彼にとっての最初で最後のツアータイトルとなっている。この表の現役5選手の対ナダル戦の勝率から判断しても、今年ナダルにクレーコートで勝利する可能性がある選手はいない。

 

最後に 

マドリード・オープンのドローが発表されたばかりだが、「今年クレーコートで、ラファエル・ナダルを倒す可能性がある選手No.1ティエム君は、ナダルと同じ組に入っており、他の選手にとっては朗報なのだろう。ティエムのガールフレンド<ムラデノビッチ>ちゃんも同大会に参戦する。日本が注目する・・・錦織圭くんの初戦は「(不調の)ジョコビッチ」、杉田祐一くんの初戦は「(現在開催中のBMWオープンで準決勝に進んだ)コールシュライバー」に決定したが、今大会に限れば、前者はドロー運(ナダルがいない組)が良い一方、後者はドロー運(ナダルのいる組)が悪いとも言えよう。

 

私的に気になる選手は、現在開催中の「エストリル・オープン」準決勝に進んだ19歳のチチパスをはじめ、カナダのラオニッチシャポバロフ、そしてイタリアのフォニーニの計4名だ。一方、(期待はしていないが)他に興味深い選手のひとりとして、「マイアミ・オープン」覇者でビッグ・サーバーのイスナーが参戦するため、(ハードコートの同決勝ではズベレフ弟を相手にエースを連発し勝利した)彼がクレーコートでどのように対処するのか要注目だ。

 

プロテニスの世界は今、クレーシーズン真っ盛りでお祭り状態となっているが、全仏オープンV11」に向け、天才<ラファエル・ナダル>が1セットも落とすことなく、圧倒的な強さで、今年も勝ち進んでいくことを期待したい。

 

Have a nice weekend!