ラファエル・ナダル<全仏オープンV11>
先週末、花の都パリで、テニスの4大大会のひとつ「全仏オープン」決勝戦が行われ、テニス界のスーパースター<ラファエル・ナダル>が前人未到となる11度目の優勝を飾った。しかも、接戦を制しての優勝ではなく、昨年に続き、圧倒しての優勝だ。前回のブログで、<ウィリアム・ブレイクは「天才は常に時代を超越している」という名言を残したが、圧倒的な勝利での全仏オープンV11をナダルには期待したい。1本の映画の「主役」がひとりであるように、「全仏オープン」で圧倒して勝利するナダルの物語の続きを今年も見せてほしい>と記したが、彼は今年も俺の過度な「期待」に見事に応えてくれた。
正に、「全仏オープンV11」はナダルにしかできない偉業だが、彼は地球上に生まれたエリート・アスリートの中でもNo.1の存在だと言っても過言ではないはずだ。ナダルが初めて「全仏オープン」に出場したのは、2005年(当時18歳)まで遡るが、当時のテニスウェアは、ナイキのノースリーブ・シャツにパイレーツ・パンツという独特のスタイルだった。彼はこの14年間で同大会を11度制し、今月3日に32歳の誕生日を迎えたばかりだが、もう我々が生きている間に、彼を超えるようなテニスプレーヤーは現れないかもしれない。この2週間に及ぶ同大会には、世界中のテニス・エリートが参加し、予選に128名(本戦に16名が進める)がエントリーでき、本戦では128名が「トップハーフ(64名)」と「ボトムハーフ(64名)」の2つのグループにそれぞれ分けられ、4回戦まで勝ち残れば「ベスト16」、準々決勝(ベスト8)、準決勝(ベスト4)、そして決勝という、プロテニス最高峰のトーナメントなのだ。
ナダルは今年の「全仏オープン」で7勝し優勝を飾ったが、彼の戦いぶりを振り返ると、難敵は、準々決勝で対戦し、ナダルから1セットを先取した、脚のある動きが速い、アルゼンチンのシュワルツマンだったとも言えよう。なぜなら、準決勝のデルポトロ戦でも、決勝のティエム戦でも全く脅威を感じることなく、圧倒的な勝利を収めたからだ。ナダルと対戦したこの3人は、敗戦後にツイッター上で、ナダルの勝利を称えており、とても珍しいケースだろう。
テニスを知らない人のために、ナダルはこの14年間で、「全仏オープン」で一体何勝したのか? その答えは「86勝2敗(勝率.977)」で、ナダルは驚異的な成績を残しているのだ。この2敗は、或る意味、交通事故のようなものだが、それは今年、ATP1000「マドリード・オープン」でナダルがティエムに負けたそれと同じように、ね。彼がクレーコートで負けるのは、彼が不調の時だけとも言えるが、この負けで、ナダルが優勝した昨年の「全仏オープン」から続いた連勝記録が21で、連勝取得セット数の記録が50でそれぞれストップした。前々回のブログで、「今年クレーコートで、ラファエル・ナダルを倒す可能性がある選手8名」のうち、過去のデータを分析し、ティエムとジョコビッチのいずれかだと書いたが、それもずばり的中した。ナダルも人間だから、負けることもあるのだ。
今年のナダルのクレーシーズンを振り返ると、26勝1敗。
◆ATP1000「モンテカルロ・オープン」優勝(4月15日~22日)V11
◆同500「バルセロナ・オープン」優勝(4月23日~29日)V11
◆同1000「マドリード・オープン」準々決勝敗退(5月5日~13日)過去、5度優勝
◆同1000「イタリアン・オープン」優勝(5月23日~20日)V8
◆ITF2000「全仏オープン」優勝(5月27日~6月10日)V11
上記のクレーコート大会以外にも、ハードコート(全豪オープン)及びデビスカップの成績を合算したナダルの今年の成績は7大会に出場し「30勝2敗(勝率.938)」(6月13日時点)だ。付け加えるならば、ナダルの生涯対戦成績は「903勝187敗(勝率.828)」で、シングルスでの獲得タイトル数は79を誇る。BIG4のうち、怪我のために長期離脱しているアンディ・マレー(世界ランキング157位)が心配だが、現役選手で最高勝率を誇るのがナダルであり、次にジョコビッチ(生涯勝率.823)、フェデラー(同.820)、マレー(同.781)と続く。
また、「ウィンブルドン選手権」以降の成績次第では、今年引退する可能性もあるフェデラー(今年8月で37歳)は、グランドスラムのタイトル獲得数は20を数えるが、32歳のナダルがフェデラーの記録を抜くのも時間の問題だろう。他に気になる数字はといえば、対戦成績でジョコビッチ(25勝26敗)に唯一負け越しているため、勝ち越してほしいものだ。なお、ナダルは、フェデラーには23勝15敗、マレーには17勝7敗、(ナダルの比較対象の選手にはならないが)錦織圭には10勝2敗だ。今年29歳となる錦織くんには、(ナダルが最多32回優勝している)「ATP1000マスターズ」で1度くらい優勝してほしいものだ。
グラスコート・シーズンの始まり
男女ともにプロテニスの世界は、クレー(赤土)コート・シーズンが終わり、今週からグラス(芝)コート・シーズンに突入した。クレーコート・シーズンの大会をスキップしたフェデラーが、今週から始まったATP250「メルセデス・カップ」(ドイツ・シュトゥットガルト)で復帰し、日本時間の今夜22時から行われる2回戦(対ズベレフ兄)に登場する。
一方、女子のそれは、米ゼネラル・ミルズ社のオーガニック食品ブランド<ネイチャー・バレー>をスポンサー名に冠した大会が、英国で3大会「ノッティンガム・オープン(6月11日~17日)」「バーミンガム・オープン(6月18日~24日)」「イーストボーン・インターナショナル(6月24日~30日)」行われる。そして、7月2日からはグラスコートの最高峰「ウィンブルドン選手権」が開催される。
ところで、開催地に目を向けると、ロンドンの北に位置する「ノッティンガム」「バーミンガム」、南に位置する「イーストボーン」だが、イーストボーンと言えば、すぐさま隣の「ブライトンビーチ」を思い浮かべるのは俺だけだろうか? ハウスミュージック好きの方にはすぐピンと来るかも知れないが、同ビーチはファットボーイ・スリムの地元であり、同ビーチで開催されたライヴはとりわけ有名であり、2002年にリリースされた『Live on Brighton Beach』及び『Big Beach Boutique 2』は私的に記憶に残るアルバムだが、俺のブログで取り上げたのは、2005年にリリースされたミックスアルバム『Bondi Beach: New Years Eve '06』だけだったのかな?
再び、話をテニスに戻すが、現在世界ランキング2位のフェデラーは、大きな「失効ポイント」が今月と来月に控えているため、ランキング2位を維持するには、グラスコート・シーズンを勝ち続けない(ウィンブルドン選手権の優勝は必須)といけないのだ。付け加えるなら、デルポトロが今年完全復活を遂げたため、フェデラーの今年下半期はとても厳しい戦いを強いられると予想される。
そう、ウィンブルドン選手権といえば、今から10年前となる2008年に行われた「ナダル(当時22歳)VSフェデラー(当時26歳)」の名勝負が忘れられないが、5時間近くにも及ぶその対決は、ナダルが6–4, 6–4, 6–7(5), 6–7(8), 9–7のフルセットの末、勝利した。そして、ナダルは優勝記念に英国の超高級車<アストン・マーティン>を購入したのだ。ナダルに関しては、以前にも度々ブログで取り上げたが、今から6年前となる2012年6月15日(金)付ブログ“Life is a mystery”(テーマ: ブログ)で、ナダルが「全仏オープン」開催期間中に、宿泊先のホテルで超高級腕時計<リシャール・ミル>が盗難にあった事件に触れたので、興味がある方はどうぞ。なお、2012年の全仏オープンもナダルが優勝した。
最後に
アメリカのシェフ兼作家<アンソニー・ボーディン>氏が今月61歳の若さで、フランスで帰らぬ人となったのは非常に残念なニュースだったが、彼に関して、俺のブログでは過去何度も取りあげたが、彼の著書『キッチン・コンフィデンシャル』について綴った2015年4月19日(日)付ブログ“American, American Oxygen”(テーマ: レストラン&バー)に興味がある方はどうぞ。
圧倒的な勝利で、全仏オープンV11を手にした天才<ラファエル・ナダル>の記憶が未だ鮮明に記憶に残っているが、和食好きな彼が日本酒を好むのかどうかまでは知らないが、今月19日、パリにジョエル・ロブションと日本酒「獺祭」のコラボ店“Dassai Joel Robuchon”がグランドオープンする。
Have a beautiful day!