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a beautiful tomorrow yea

現在、ジンとジュネヴァは驚くべきルネサンスを迎えている。おそらくどのスピリッツよりも大きなブームだ。21世紀に入ってからというもの、30種以上の新しいジン・ブランドが市場に参入した。ビフィータータンカレーのような保守的なイギリスの蒸留所がそのクラシックな製品を現代的に解釈した製品を発売する一方、アメリカでは伝統にとらわれないボタニカルを用いた少量生産のクラフト・ジンが数多く生まれている

 

ジンにとって、スピリッツの世界でその地位を回復するまでの道のりは容易ではなかった。20世紀末まで、アメリカのジン業界はごく少数の国産ブランドがあるだけで、しかも注目に値するようなブランドは皆無といった状況だった。1990年代に入るまでは、ゴードンビフィーターといったロンドン・ドライ・ジンをはじめとする大量の輸入品が頼りだったのである。

 

禁酒法の廃止後、奇想を凝らしたカクテルはもっと実用本位のドリンク―材料が少なくてすむ地味なドリンク―に追いやられた。もちろんマティーニの人気は続いており、1940年代のアメリカ人はジン・トニックも知るようになるが、バーで出すトニック・ウォーターがとんでもなく高かったために、ジン・トニックは上流階級のものだとみなされた。しかしトニック・ウォーターの価格が下がると、ジン・トニックの人気も高まった。そして1960年代初めには―ジョン・F・ケネディ大統領のお気に入りだったこともあって―ジン・トニックは以前より洗練されたオーラをまとうようになる

レスリー・ジェイコブズ・ソルモリン著『ジンの歴史』(2018/5/28刊行)より

 

GIN LIVE TOKYO 2018

 

71日付ブログ“Summer has come!(前編)”(テーマ: テニス)の中で、「最も早い夏の始まり」として、<日本の気象庁は、関東甲信地方が6月29に梅雨明けしたと発表した。同庁によれば、1951以降で最も早い同地方の梅雨明けであり、昨年より7日早く、平年より22日早いそうだ。夏は眩しくて美しい季節なのかもしれないが、このニュースは、ここ67年間で、東京に最も早い夏が訪れたことを意味する>と記した後、

 

毎夏、ジントニック。」として、俺が毎夏愛飲しているジン・トニックに触れ、ロンドンで開催されたプロテニスの大会ATP500クィーンズクラブ選手権」で振舞われたフィーバー・ツリーで割った、メトロセクシャルな男が好む、知的なカクテルジン・トニック>について言及したのを憶えているだろうか?

 

日本に限らず、全世界的に最高気温の記録が塗り替えられているが、今年も異常なほどの暑い夏が連日続いている矢先、台風12が日本列島を直撃した先月末の土曜日。俺はスポーツジムでのワークアウトを終えた後、銀座でタクシーに乗車し、(秋葉原の大規模再開発で2006年に開業した)複合商業施設「秋葉原クロスフィールド」に向かった。

 

秋葉原に向かった目的は2つあり、地上22階建の高層ビル「秋葉原UDX2Fに位置するイヴェント・スペース<アキバ・スクエア>で開催されたウイスキーマガジン主催の「GIN LIVE TOKYO 2018」において、①世界各国のプレミアム・ジンの試飲、②ヘンドリックスジンのグローバル・アンバサダーによるスペシャルセミナーの受講だ。

 

ところで、イヴェント当日は、東京都心に台風12が迫っていたため、会場内は比較的空いているだろうと思っていたが、予想外の混雑ぶりで、少しばかり驚いたと同時に、ジンの業界関係者及び飲食店やバー、ホテルのバーテンダー以外に、若い!?女性大学生の姿も見受けられ、2000年代前半のシャンパン・ブームはさておき、昨今のジン・ブームもまんざら嘘でもないことに気付いたのだ。もし次回があるのであれば、会場は秋葉原のイヴェント・スペース等ではなく、銀座界隈の外資系超高級ホテルでの開催を希望したい。チケット代金は1万円でも構わないので、もっと高級感を打ち出して欲しい。ガラス張りの「アキバ・スクエア」の明るい雰囲気も悪くはなかったけど、ね。

 

プレミアム・ジンの試飲 

同サイトには、出展ブランドは31並んでいる。上段の左から順番に「ヘンドリックス」「ROKU GIN」「ビフィーター」「季の美」「コッツウォルズ」「バスタブ・ジン」、2段目の左から「サイレントプール」「ローンウルフ」「カルーン」「イースト・ロンドン・ドライ・ジン」「エレファント・ジン」「ミッケラー」、

 

3段目の左から「オールドラジ」「セイクレッド」「スヴェンスカ・エルドヴァッテン」「ヴィッダトール・ジン」「フィーバー・ツリー」「ボビーズ」、

4段目の左から「レイクス・ディスティラリー」「ジェラニウム」「オールドイングリッシュジン」「ザ・ボタニスト」「SAKURAO」「ボンベイ・サファイア」、

 

5段目はすべて国産ブランド、そして6段目はシカゴの「コーヴァル」だ。

 

今回、全部のブースのジンを全種類、ストレートで飲み歩くのは不可能なので、俺は国産クラフト・ジン数社を除いて、海外のプレミアム・ジンを中心に試飲して回った

 

まず、エントランス近くにブースを構えていたメジャーブランド「タンカレー」社は3種類のジンを紹介していたが、同社の「タンカレーNo.10」は俺のお気に入りジンのひとつであり、飲みなれたそれなのだが、以前のブログでも取り上げた、1994スヌープ・ドッグがリリースした名曲“Gin and juice”の歌詞に登場するのが同ブランド「タンカレー」であり、ジン・トニックをいただきながら、もうかれこれ24年前の記憶が再び蘇ってきたのだ。

 

アメリカ市場の輸入ジンで長年トップに君臨してきたタンカレー社が、2000にアメリカ向けに投入したプレミアム・ジンが「タンカレーNo.10」であり、2007に再び柑橘系の要素を利用したそれが「タンカレー・ラングプール」であり、これはラングプール・ライムという貴重な柑橘系を際立させたものだ。先述した内容は、ブログ冒頭で引用した書籍「ジンの歴史」にも説明されている内容だが、会場内のブースにそれぞれ配されたスタッフに対して、シャンパンに限らず、俺のような高級な酒を愛する男が、ジンの歴史、その物語の詳細を求めるのは、そもそも無理な話(多分、答えられない)なのだろうが、周りに他の客も並んでいたので、説明は求めていない。とりわけ、好きな分野(趣味とも言える)は何でも極めないと気が済まないという俺の性分は・・・(笑)。

 

次に向かったのは、会場内でひと際目を引いた「ヘンドリックス」のブースであり、アメリカで2000に、イギリスで2003年にそれぞれ発売されたクラフト・ジンだ。ブース内でいただいたパンフレットには「職人による少量生産にこだわったスコットランドで蒸留されたプレミアムジンです」と。このブースは、リピートで訪れ、ストレート、ジン・トニック等々、いくつかの提案によるそれを試したが、11種類のボタニカルと薔薇の花びらとキュウリのエッセンスはとても個性的で、昨夏によく愛飲したそれだとはいえ、今後も私的に愛飲するであろうプレミアム・ジンのひとつだろう。

 

その流れで、14時から始まったのが、同ブランドのグローバル・アンバサダーを務めるアリー・マーティン氏のセミナーであり、世界で一番風変わりなジンヘンドリックス」の魅力を30分ほど語ってくれたが、とても興味深い内容だった。その後、初来日の彼と少しばかり立ち話をしたが、ポケモンカードを集めるのが好きな彼に会いに、翌日の夜、俺は渋谷のトランク・ホテル内のバーに足を運んだ。

 

話を戻すが、会場内では、タンカレーボンベイ・サファイアビフィーターの大手3社のプレミアム・ジン以外に、ヘンドリックスを除いて、最も興味深かったブースが「株式会社ウィスク・イー」のそれであり、同社が取り扱っているプレミアム・ジン・・・今夏愛飲している「サイレントプール」を除いて、ミシュランレストランで人気を博すスウェーデン産の「ヨーテボリ・ジン」、2009年創業のジュニパー10倍使用のオーガニックジン「セイクレッド・オーガニック・ジン」、

2015年のスピリッツ・コンペティション“ジン・コンテンポラリースタイル部門最高金賞”受賞の「バスタブ・ジン」、

売り上げの15%をアフリカ象保全団体に寄付している2012年創業のドイツの「エレファント・ジン」、そしてブリュードッグが手掛ける2016年創業の「ローンウルフ・ジン」は、それぞれに飲み慣れていないため、何種類も試したとはいえ、帰り間際のその頃にはそれぞれのジンの味の「違い」など理解できるはずはなく、かなりの量のプレミアム・ジンが身体中を循環し、俺はほろ酔い気分だった。

 

そして、秋葉原でタクシーをつかまえ、銀座に向かったが、往復それぞれの料金は、片道1930円と偶然にも同額だったが、台風12号が直撃した7月末、そんなアニヴァーサリー!?な土曜の夜の話は長くなるので、機会があればまた(笑)。

 

最後に 

過去と未来、高級シャンパンや高級ウィスキー同様、近年登場したプレミアム・ジンもまた、人々を議論させ、詩を書かせようとする飲み物なのかもしれないが、先述した本「ジンの歴史」の結びから、一部抜粋して紹介したい。

 

何を飲むにしても、ジンを楽しむのに必要なのは、その風味を好ましく思う味覚であって、ただ酔っ払いたいだけの身体ではない。ジンはどの酒よりも錬金術的な酒だ。穀物とジュニパーというありきたりの素材を変身させ、霊薬のようなものにすることができるのだから。

 

Ready to Tanqueray, tonight?