バブルは流行のようなものだ。
人々は何度も興奮し、それが度を越す。
価格が上昇し始めると、人々の話題に上り、新聞が書き始める。
市場に押しかける人が増え、価格はさらに押し上げられる。
しばらくは上昇を続けるが、永遠に続くわけがなく、
最終的に破裂する。それがバブルの崩壊だ。
―ロバート・シラー(イェール大学教授/ノーベル経済学章受賞者)
アメリカ17歳の超新星<アマンダ・アニシモバ>が初来日
去る3月21日(水)付ブログ“Naomi Osaka: Awakening (後編)”(テーマ: テニス)の中で、
BNPPOで4回戦まで勝ち進んだ米16歳の超新星<アマンダ・エイニシモバ>ちゃんは要注目であり、すでに初戦では勝利を収めており、次戦の相手がムグルサという、この対戦は、新旧交代とは言わないが、少しばかり胸躍るそれだとも言えよう、と書いたが、
広島で先々週開催されたWTA280「ジャパン女子オープン」(9月10日~16日)に17歳のアマンダちゃんは予選から参戦し3勝。本戦には予選通過者として出場し、4連勝し、決勝では台湾ベテラン32歳のトリックスター<シェ・シュウェイ>に敗れたものの、準優勝を飾ったのだ。付け加えるならば、昨年11月下旬に開催されたハワイ・オープン(WTA125K)では、アマンダちゃん(当時16歳)はシェ・シュウェイに6-0, 6-1で圧勝していたため、今回の結果に驚きを隠せなかった。シュウェイ本人は、決勝前日の記者会見で「彼女に圧勝されるかもしれない」と語っていたのだ。
フロリダから母親と初来日を果たしたアマンダちゃんは、広島で毎日大好物の寿司を食べ、ジャパン女子オープン決勝前夜も、広島駅前の回転寿司に足を運んだとインタヴューで答えていた。広島での決勝後は、東京観光を経て、
中国の武漢に飛んだが、女子のトップ10選手が全員参加するWTA900(プレミア5)「武漢オープン」の、予選に出場したものの、残念なことに予選敗退し、本戦出場は叶わなかったのだ。それゆえ、来週参戦予定のWTA1000(プレミア・マンダトリー)「中国オープン」まで時間を持て余すかもしれないが、(超高級ホテルを除いて)中国国内で美味しくて安価な鮨屋は存在しないと思われ、彼女の寿司店探しが心配だ(笑)。そんなアメリカ17歳の寿司ガール<アマンダ・アニシモバ>ちゃんの9月24日付WTA最新ランキングは93位だが、大坂なおみちゃんの17歳当時(2015年9月21日)の世界ランクは182位ゆえ、アマンダちゃんの現ランクが凄いのは誰の眼にも明らかだろう。
近い将来、(大坂なおみ同様)プロのコーチ陣とチームを組み、ツアーを回れるようになれば、来年18歳でのトップ30、19歳でのトップ10、20歳での1位も夢物語ではなくなるはずだし、大坂なおみやアリーナ・サバレンカとの対決をぜひとも実現してほしいところだ。
長身180cmの彼女の特徴は、メンタル面の安定さ(穏やかな性格でプレー中は冷静沈着)をはじめ、サーブ&ストロークのプレー精度の高さであり、ジャパン女子オープンの予選3戦は、ラドワンスカ妹との2戦目戦を除けば、1回戦(6-3, 6-3)及び3回戦(6-3, 6-2)では圧勝、そして続く本戦5戦では、決勝を除けば、1回戦のヤナ・フェット(6-1. 6-1)、2回戦のジェン・サイサイ(6-1, 6-1)、準々決勝のアンナカロリナ・シュミエドロバ(6-3, 6-1)にも圧勝、そして迎えた準決勝では、第1シード(34位)のジャン・シューアイを7-6, 7-5の接戦で制するなど、圧倒的な強さで決勝まで勝ち進んだアメリカン・ティーンなのだ。まだ17歳で、洗練された完成度の高いプレースタイルは魅力であり、彼女の成長がこのまま続けば、10代でマスターズやグランドスラムのタイトルを獲得する可能性も無きにしも非ずなのだ。かつて、彼女のツイッターには「日本好き、寿司好き」と英語で紹介されていたが、現在は変更されている。
女子テニス界に輝く次世代エリート達
去る8月20日(月)付ブログ“Tsitsipas has an amazing future.”(テーマ: テニス)では、天才<ラファエル・ナダル>がATPマスターズ1000「ロジャーズ・カップ(トロント)」V4を達成し、ATPマスターズ1000のタイトル獲得数を33(歴代No.1)に伸ばしたことや、21歳以下の若者が活躍したATP500「シティ・オープン(ワシントンD.C.)」にも言及したのを憶えているだろうか?
そして、先述した男子のスター選手同様、「女子テニス界に輝く次世代エリート達」と題して、女子テニス界の次世代8名と、それを追う17歳以下のティーン4名に注目したが、その注目の次世代の代表でもある20歳の大坂なおみ(7月30日当時の世界ランク17位)ちゃんとアリーナ・サバレンカ(同36位)ちゃんは、今夏に大活躍し、前者は世界ランク7位に、後者は同20位までランクアップを果たしたのだ。Congrats!
ところで今春、大坂なおみのツイッターのフォロワー数はわずか3万3000人だったが、全米オープン優勝後からフォロワー数が一気に増え続け、9月24日時点のフォロワー数は28万超えとなり、10倍近くに激増している。この“バブル”にも似た現象は、(テニスファンを除いて、世界的にもほぼ無名に近かった)彼女への期待値の表れだろう。
WTA280「タシケント・オープン」(9月24日~29日)
今夏、女子テニス界では、将来のNo.1候補でもある次世代・・・大坂なおみとベラルーシ20歳のアリーナ・サバレンカが話題を独占したが、彼女達よりも若い10代の選手たちの成長が著しいのだ。次世代8名と、昨年頃から私的に注目している17歳以下のティーン4名の中から、今回6名も出場するウズベキスタンの大会は、女子テニス界の未来を予想するには見逃せないと同時に、とても興味深く、トップ10選手が参戦するWTA900「武漢オープン」とはまた異なる魅力に溢れており、日本時間の本日午後から1回戦が始まるが、DAZNの中継は本戦3日目となる今週26日(水)から開始予定だ。
第1シードは、ルーマニア28歳のイリーナカメリア・ベグ(55位)だが、トップハーフで私的に注目している選手は、
セルビア17歳のオルガ・ダニロビッチ、
ウクライナ16歳のマルタ・コスチュク、
そして予選通過者・・・ロシア17歳のアナスタシア・ポタポワのティーン3人だ。
今夏ロシアで開催されたWTA280「モスクワ・オープン(クレーコート)」(7月23日~29日)で優勝したのが、(ラッキールーザーとして本戦入りを果たした)17歳のダニロビッチちゃんであり、顔が森泉にそっくりな選手なのだ。準優勝はロシア17歳のポタポワちゃんだったが、両者ともに強かったので未だ鮮明に記憶している。ダニロビッチは、シュミエドロバ、カネピ、ゲルゲス、サスノビッチ等々の格上の選手相手に勝利するというその快進撃はとても痛快だったが、今回はクレーコートではなく、ハードコートでの試合となるため、その戦いぶりに要注目だ。
同ドローで他に気になる点は、ジャパン女子オープン1回戦で対戦し、今年3回目の対戦となるカナダ24歳のウージニー・ブシャール(元世界5位)と、(タシケント・オープン2015年覇者)日比野菜緒の再戦であり、運命の悪戯とも言えよう。20歳の若さで世界ランク5位までのぼりつめたブシャールちゃんだが、転倒後に脳震とうを起こして以降、リハビリに挑み現在に至っているが、近年厳しい戦いを強いられている。
ボトムハーフで注目している選手は、第2シードのベラルーシ19歳のベラ・ラプコとスロベニア20歳のジダンセク、そして予選通過者でハンガリー19歳のファンニ・シュトッラルの3人だ。いずれにせよ、面白い大会になるのは必至だが、シュトッラルの1回戦の相手は、日本26歳の奈良くるみだ。
最後に
東レPPO準優勝に終わった大坂なおみちゃんが、女子テニスのトップ10選手が全員参加するWTA900「武漢オープン」を急遽欠場すると発表したが、今年覚醒した彼女のテニス人生は始まったばかりだ。そして来月、彼女は21歳の誕生日を迎える。
自分らしくあれ。
ほかの人の席はすでに埋まっているのだから。
―オスカー・ワイルド
Happy holidays!